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全国93万か所に土壌汚染の可能性あり!

産業で汚染された土地が、浄化処理をされずそのまま宅地造成されたというケースが問題になっている。多くの住民は汚染の事実を知らずに住宅を買い、調査や補償も十分にされないまま、今でも土壌汚染や地下汚染の被害に苦しんでいる。日本には、こうした土壌汚染の可能性のある場所が、なんと93万か所もあるという! そんな”土壌汚染列島”ニッポンの実態をリポートする。

全国93万か所に土壌汚染の可能性あり!

 重金属汚染は、かつては足尾銅山など鉱山で起こった問題でしたが、今は市街地で起こっています。

 現在、日本には土壌汚染の可能性のある場所がなんと約93万か所あるといわれています。決して他人事ではありません。うち65万か所が製造業、28万か所がサービス業です。サービス業で多いのがガソリンスタンドやクリーニング店、そして、軍事基地、空港、鉄道施設、病院、実験を行う理科系の大学、廃棄物処理施設などですね。つまり、土壌汚染はどうしても都市部に集中するんです。

 例えば、クリーニング店では有機塩素系溶剤のテトラクロロエチレンを高い確率で土中に漏出しています。ガソリンスタンドでは、地下タンクから有害なベンゼンなどが100%漏れています。

 よく検出される有害物質は揮発性有機化合物(トリクロロエチレンなど)、重金属(ヒ素、鉛、水銀、フッ素など)、農薬が主です。

 実は、市街地での土壌汚染を取り締まる法律は近年までありませんでした。やっと施行されたのが、’03年2月の「土壌汚染対策法」(’10年4月に改正)です。これは、土地を汚染した者に調査や汚染の除去等の措置を義務付けるものですが、ザル法です。

 まず、法律施行以前、つまり’03年2月以前に廃止された工場の場合は対象外であること。そして、住宅地には適用されないんです。だから、小鳥が丘や桃花台の場合は、土壌汚染した企業は’03年よりはるか昔に操業停止しています。何よりも、どちらも住宅地なので初めから法の対象外。

 またサービス業も対象外ですし、3000m2以下の施設は汚染の調査や除去の義務から外れているので、ガソリンスタンドなども廃業時に土壌検査なんてしませんよ。お金も何百万円とかかりますし。

 アメリカには「スーパーファンド法」という法律があって、これは汚染責任者を特定するまでの間、国が汚染の調査や浄化を行うことを定めています。財源は、石油税などで創設した信託基金(スーパーファンド)。問題はありますが、日本が見習うべき一つの形です。

 しかし、法律が手薄な日本では、自分で自分を守ることも必要。まず、その土地の履歴を図書館で調べたり、地元の人から聞き取りを行ったりします。小鳥が丘も桃花台も、昔からの住民は、産廃埋め立ての事実を知っていたんです。

◆土壌汚染の問題は地下水汚染の問題

 都会の住宅街は、工場跡地などの汚染地が半分以上を占めています。良心的な開発業者は、土壌汚染を確認したら、浄化や土の入れ替えを行ってから分譲を行いますが、そうでない業者は買い主にそれを説明しません。

 私が調査に関わった大型複合施設「大阪アメニティパーク」のケースでも、販売業者である三菱地所は、土壌・地下水汚染の事実(環境基準値の最大410倍のセレン、4・6倍のヒ素が検出)を5年以上も隠匿していました。

 とはいえ、田舎ならば安全かというと、近年は大企業でも地方で工場建設を行う事例も増えています。田舎での新たな心配は、井戸水や農業用水などの汚染です。田舎の水も、今は危ない。土壌汚染問題は、実は地下水汚染問題なんです。土壌が汚染されると地下水が汚れ、その地下水は雨のたびあちこちに移動して別の場所の土や地下水まで汚染する。真上の土地だけの問題ではないんです。

 これから住宅購入をする場合には、土壌汚染にぶつかる可能性を前提にして当たったほうがいい。ひとたび土壌汚染されると、1000年くらいしないと土はきれいになりませんよ。

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畑 明郎氏
大阪市立大学大学院経営学研究科特任教授(環境政策論)。
編著書に『廃棄物列島・日本 深刻化する廃棄物問題と政策提言』(世界思想社)など

取材・文・撮影/樫田秀樹
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