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【有機野菜の裏】「無農薬」がウリの引き売り業者の実態

今、時代は空前の野菜ブーム。だが右下の表にあげた「5つの誤解」をはじめ、野菜に対する妄信的な信仰は、逆に毒となることもある。「有機野菜」という言葉にひそむ危険性ほか、オーガニック神話の裏を追った

オーガニックブームの裏で、弊害が多発中!
【野菜の裏1】「無農薬」がウリの引き売り業者の実態

 都心を中心に、果物をトラックやリヤカーで運びながら売る「引き売り」が目立ってきている。「産地直送」や「無農薬」をウリにするところが多いが、味や品質はどうなのか? JR中央線の某駅前で「産地直送無農薬 モモ、梨、リンゴ6個300円」と破格の値段を掲げる業者を直撃した。

 さっそく看板商品を頼むと、「もう売り切れです」との返事……。代わりに提示されたのは、3個1050円もするリンゴ。なぜこんなに高いのか聞くと、「”黒石リンゴ”という青森県産の新品種で、東京では物産展でしか手に入りません。でも、無農薬で皮ごと食べられますし、おいしいですよ!」と試食を勧められた。たしかに瑞々しくて甘い。するとこちらが迷うまでもなく、「この駅近辺の住民ですね。え? 違う? でも、今なら5個で1000円にしますよ!」となんの脈略もないサービス&値下げを展開! 試しに「もう1個つきますか?」と聞くと、「つけましょう!」と6個で1000円になった。わずか数分で、実質半値以下である。

 しかし、持ち帰ったリンゴを食べてみると、試食したものと違って実がパサパサでマズい。なんで!? 黒石観光協会に問い合わせてみると、衝撃の事実が発覚した。

「黒石リンゴというのは黒石市で育てられたリンゴの総称で、品種ではありません。それにリンゴの生育には無農薬が難しく、黒石市でも完全に農薬を使わない産地はありません。八百屋などで1個1
20円ほどで買えます。味はシャキシャキして瑞々しいはずですが、本当に黒石のリンゴでしたか?」

 引き売り業者と言うことがまったく違うのだ。では、このリンゴは何? 事情通の八百屋さんが笑いながらその疑問に答える。

「引き売りはほとんどがテキ屋。リヤカーで豆腐を売る野口屋が好調なため、それをマネて増えてきているんだよ。卸売市場で余ったものや、農協に買い取られなかった番外品を安く買って、客を騙して高く転売する。だから看板に書いてある破格の商品はいつも売り切れ。試食に使うもの? それは別途お店で買っているよ(笑)」

 取り締まりが厳しくなるテキ屋稼業だが、過熱する有機ブームは彼らの懐すらも温めていたのだ。

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出荷元不明の不揃いなリンゴたち。購入した6個のうち3個は傷がついていた。餅は餅屋というように、果物は八百屋か果物屋がベターだ

― 有機野菜の危険な裏事情【4】 ―

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