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原発推進派が「規制する側」に!? 原子力村の呆れた茶番

 事故を起こした東京電力の責任が重大であることは言うまでもない。しかし、東電はその歯車の一部にすぎない。「原発は国家なり」と、いわばオールジャパン体制で推進されてきたのだ。元共同通信記者の土井淑平氏はこう指摘する。

【前編】はコチラ⇒『東電は「原子力村」においては歯車の一部に過ぎない』
https://nikkan-spa.jp/278348


◆ 「原子力は安全」と言ってきた人物が「規制」する側に

原子力業界図【画像】はコチラ
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原子力村,土井淑平

土井淑平氏

 経済界と原発の関係も深い。

「原発導入を決めた際、当時の日本政府は国内大手企業を集めて、開発に携わらせました。そのため、原子炉メーカーでは三菱重工、東芝、日立、金属素材を提供する新日鉄など、今や日本の大手企業にとって原発は巨大な利権となっています。経団連の米倉弘昌会長が福島第一原発事故後もことあるごとに原発推進の立場から発言しているのも、こうした背景があります。さらに三菱東京UFJ、三井住友、みずほ銀行などのメガバンクや日本生命などの保険会社は電力会社の大株主であり、再稼働や電気料金値上げを求めています。これらの企業の責任も非常に重いと言えるでしょう」

 福島第一原発事故後、議論を呼んだのが原子力の専門家と原発業界との関係だ。

「例えば、原発再稼働のための安全審査とされるストレステストについての専門家委員会のメンバーである東京大学の岡本幸司教授、大阪大学の山口彰教授、筑波大学の阿部豊教授の3人が、三菱重工から献金を受けていたことが明らかになっています。比較的良心的と思われる科学者も原発に協力してきた経緯があります。核兵器に反対していた湯川秀樹氏も初代原子力委員会の委員長を務めました」

 マスコミやメディア関係者の責任も問われる。

「事故以前、電力業界全体の広告費は年間2000億円にも上りました。特にテレビにとってはまさに大スポンサー。原発に批判的な報道がしづらい状況でした。またマスメディア幹部に『原子力文化』という日本原子力文化振興財団の機関誌に原稿を書かせたりもしていました。こうしてメディア内の有力者を一本釣りしてきたのです。記者クラブの弊害もあります。特に経産省の記者クラブに所属する記者は、原発に批判的な記事を書けば敬遠される。新聞の編集幹部も、その記者を代えて、経産省の意向を伝えるような記者を配属させるでしょう」
法の番人である司法も原発業界と無縁ではない。

「伊方原発や福島第二原発の訴訟で住民側の建設許可取り消し請求を退けた元最高裁判事の味村治は、なんと’98年に原発プラントメーカーの東芝の社外監査役に天下りしました」

 福島第一原発事故後も、原発業界が解体されるどころか、より強化される動きすらある。

「原子力村との決別」(細野原発事故担当相)のために設置される原子力規制委員会の人事案で、こともあろうか田中俊一・元原子力学会会長ら原子力業界関係者ばかりが指名されている。この人事案に反対運動を行う環境団体FoE Japanの満田夏花氏は「原子力規制委員会は再稼働や安全基準など重要な判断を一手に担うほか、原発事故処理も担当します。このままの人事では、原発が有権者の意思とは無関係に推進され、福島第一原発事故の被害もなかったことにされかねない」と懸念する。

 はたして、一般市民に対抗手段はないのか。

 土井氏は「住民投票は有効」と語る。「新潟県旧巻町、三重県旧海山町での原発計画はいずれも住民投票で撤回されました。そうした抵抗を続けることが大事なのではないでしょうか」。

【土井淑平氏】
元共同通信記者。原子力、ウラン鉱害問題などを中心に取材を続ける。著書に『原子力マフィア―原発利権に群がる人びと』(編集工房朔)、『原発と御用学者―湯川秀樹から吉本隆明まで』(三一書房)など

― 東電「一般社員」の声に出さない悲鳴【6】 ―





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