自分が使いたい電気は自分でつくる「オフグリッド」な生活とは?【vol.2】

大手電力会社が電気料金値上げや原発再稼働に邁進しているなか、「脱・大手電力会社」の動きが急速に進んでいるという。その理由は何なのか? 自治体、企業、一般家庭それぞれの「電力シフト」最前線をリポートした

<一般家庭>廃棄バッテリー再生で安価なシステムが完成

⇒【vol.1】「大手電力会社の電気を使わない、「オフグリッド」な生活とは!?」

 そこで、環境活動家の田中優さんも加わり、新たな独立型ソーラー発電キットを提案した。それまではバッテリー費用が高すぎて導入してもペイできないというのが最大の問題だったが、フォークリフトやゴルフカートの廃棄バッテリーを再生することで解決。 これらは定期的に交換されるため、まだ使えるものが捨てられているのだ。それを「パルス充電」という方法で再生したり、極板を活性化させる添加剤を併用して長く使えるようにしたりと工夫している。

「ITE電池研究所の鉛電池用活性剤(スーパーK)を2年おきに入れることで寿命が10年、20年と延び、20年間の電気代とほぼ同じ費用で独立型電源を設置できるようになりました。一式の費用は157万円(施工費別)です」(大塚尚幹さん)

 大塚さんと一緒に自エネ組を立ち上げたのが、元東電職員の木村俊雄さん。中学卒業後に東電学園に進学、卒業後は東電で原子炉の設計・管理などを担当していた。

「使用済み燃料の処分方法が決まっていないなど、『原発に未来はない』と直感して退職届を出しました。東電は給料や待遇が非常によくて、地元ではエリート扱いでしたから、両親や同僚に大反対されました」(木村さん)

 退職後、福島県大熊町でさまざまな仕事をするうち「漠原人村」に出入りするようになった。

「’03年から半年ほどそこで暮らしてみたんです。沢水を引いて、薪で調理して。夜はランプの生活で、すごく楽しかったんですね。生きる喜びを感じました」(同)

 大塚さんと木村さんは、こうしたオフグリッド(電力会社に接続しない)電源を普及させたいと考えるようになった。ところが原発事故が起き、西へ避難することに。 木村さんはサーファー仲間を頼って高知で家を借りた。現在は230Wのパネルを9枚設置してバッテリーに蓄めている。

「350リットルの冷凍冷蔵庫、洗濯機、ノートPC、ブラウン管テレビ、DVDプレーヤー、換気扇、扇風機、照明などで、月に45 kWhくらい使っています」(同)

 一般的な4人家族で使うのが月300kWhほどなので、木村さんの使用量はかなり少ない。電気代にしたら700円くらいだという。今年7月に電力会社の契約を切り、以後は独立型のソーラー発電だけで賄っている。当然、電力会社に払う電気代は0円だ。

「今年の8月は晴れた日が1日くらいしかなく、けっこう大変でした。それでも、電力会社と縁が切れるのは爽快で痛快だし、革新的だと思いますね。誰かに頼らなくても、家庭単位でひっそりと独立できるんです」(同)

 木村さんは「停電したときに自分の家だけ明るいのも申し訳ない」と、軽トラにソーラーパネルを積んだ電源車をつくり、停電時は地域の非常用電源として活用できる。

⇒【vol.3】「生活の質を落とさずにオフグリッドへ移行」に続く

撮影/新井由己
― [脱・大手電力会社]はここまで進んでいた【4】 ―




おすすめ記事