別れ話から一転、震災をキッカケに彼女からプロポーズされた
東日本大震災という前代未聞の大惨事に、政治が現地での対応力を問われている最中、被災地を離れた場所では恋愛で人間力を問われた人々がいた。ある者は放射能への恐怖で恋人と東京を脱出した。ある者は震災当日からナンパメールを送りまくった。そこに隠された、震災下の恋愛の勝ち負けを決める境界線とは!? 震災後の恋愛観を徹底研究
【震災の結果、真実の愛に目覚めた人々】
トホホな別れ話や、不謹慎なモテ話ばかりが「震災恋愛」ではない。あの震災により「本当に大事な人」に気づいた人たちも当然いる
◆遠距離で別れる寸前から逆転。プロポーズされる!!
“震災婚”とでも呼べばいいのだろうか? 横浜で働くパソコン講師の北真一さん(仮名・29歳)は、今回の震災がきっかけで故郷の札幌に住む彼女(30歳)との遠距離恋愛を実らせ、結婚する予定だという。
「震災直後は、彼女の不安が爆発しました。仕事中も頻繁に『原発事故が心配。すぐ札幌に逃げて』とメールで訴えてくる。でも仕事を放り出せないじゃないですか」
北さんは横浜に残り続けたが、原発事故は解決の兆しを見せず、彼女の不安は高まっていった。
「自分なりに情報収集して、あまり心配ないと何度も言い聞かせたけど、『政府が情報を隠してる』と彼女の不安は収まりません」
そのうえ、彼女は心配が高じて寂しがるようになったという。
「『愛してると言って』と電話でしつこくせがんできました。でも札幌とは違い、こっちは余震も続いてる。そんな気分になれず、適当にあしらったんです。そのときは彼女も反省して『頭を冷やさなきゃ』とメールしてきたんですが、『そうしたほうがいい』と思いやりのない返事をしちゃって……」
◆心配しすぎる彼女が一転、「別れよう」
冷たくされた彼女はショックを受け、別れ話を切り出した。
「『心配性じゃないコ探したら』とメールが来ました。それからは電話に出てくれず、メールを送っても反応が鈍くて」
北さんは危機を打開するため、週末に札幌に飛んだ。しかし彼女はなかなか会おうとしない。やっと彼女に会えたのは、帰りの飛行機に乗る5時間前のことだ。
「カフェで話してたんですが、彼女は私の顔を見て緊張の糸がほぐれたのか、周囲もはばからず急に泣きだしました。そして『心配させないで。そばにいて。そうだ、結婚しよう』とプロポーズしてきたんです。驚きましたよ。でも、そのとき気づいたんです。心配性のこのコを守るのは私なんだと」
震災が愛の深さを試したようだ。
― 震災恋愛[フラれた/モテた]の境界線【8】 -
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