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中国の狡猾資源戦略を前に日本は取り残される!?

戦乱が激しさを増すアフガニスタンに、総額1兆ドルとも推定される資源が眠っている――。圧倒的な資金力で真っ先にその利権を獲得したのは、着々と資源戦略を展開する中国だった!

長期的な戦略のない日本は取り残される!?

 中国にはアフリカの42か国に資源開発の拠点があり、自国へ運ぶためには海上輸送の安全確保が必要です。しかし、中国の海上輸送の通り道にあり、国境紛争を抱えるインドは’07年、米国、オーストラリア、日本を招いて合同軍事演習をしています。

 これに対し中国は、インドネシアと石油だけでなく軍事分野での協力を進めて楔を打ち、ミャンマー、スリランカ、モルディブ、モーリシャス、パキスタンとインドを囲むように港を造って「真珠の首飾り」戦略で圧迫しています。

 中東やアフリカの資源を運ぶのに、難所のマラッカ海峡を避けられることも大きい。さらに、領土紛争の相手であるインドの前を通らずに資源を運べることに大きな意味があるのです。

 同時に、反米を打ち出しているベネズエラの石油権益を得て、米国の裏庭にも楔を打っている。習近平副主席は昨年、ベネズエラやブラジルなどを訪れて資源外交を展開しましたが、そうした意味がなければわざわざ行くことはないでしょう。

 ロシアや中央アジア諸国とつくる上海協力機構の関係を生かして中央アジアからうまく米軍を追い出させ、パイプラインを引いてトルクメニスタンから天然ガス、カザフスタンから石油を運んでいます。’08年に国境紛争を解決したロシアからも、日本との競争に勝って石油パイプラインを引いています。中東ばかりに頼る日本と違い、周辺国との関係を深めながらリスク分散をしているのです。

 資源は獲得すれば終わりなのではなく、獲得した権益を守っていく必要があります。つまみ食い的にではなく、戦略的な意味で資源を獲得していかなければならない。政情の安定した地域の資源はすでに開発され尽くしていて、世界の資源は、中国が狙うような”危険な”地域にしか残されていません。中国のようにリスクを冒さず、長期的な戦略もない日本は、このままでは取り残されてしまうのではないでしょうか。

日暮高則氏

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社団法人「日本・中国・ASEAN経済文化研究会」代表理事。著書に『沖縄を狙う中国の野心』(祥伝社新書)など

取材・文・撮影/安田純平
写真/堀 靖人(森林総合研究所) 永川一郎(KENLYN)
資料/石油天然ガス・鉱物資源機構 森林総合研究所
― [現地ルポ]中国の狡猾資源戦略を暴く【7】 ―

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