水不足・食糧危機に備えて水源地や農地を買い占めに走る中国
戦乱が激しさを増すアフガニスタンに、総額1兆ドルとも推定される資源が眠っている――。圧倒的な資金力で真っ先にその利権を獲得したのは、着々と資源戦略を展開する中国だった!
【水資源・木材など】
水不足・食糧危機に備えて水源地や農地を買い占め!
世界の土地を買い漁る中国の動きが顕著になっている。世界の農業問題などに詳しい農業情報研究所主宰の北林寿信氏はこう語る。
「中国は、パーム油プランテーションのために、日本の全農地の6割にも相当する広さの280万haの熱帯雨林をコンゴから確保しています。ザンビアの熱帯雨林も200万haを押さえている。南アフリカからは1000万haの農地を99年間無償貸与されたほか、中東諸国やエチオピア、ケニア、タンザニアなどに果物や野菜などを栽培する農地を買うなど、世界各国に農地を確保し始めています」
また、現在の中国は世界一の木材輸入国となっている。従来は国内の森林を伐採してきたが、植林や間伐など持続可能な林業を行ってこなかったため、’90年代後半から急激に国内生産量を減らした。中国は大量に輸入した木材を加工して輸出。その量は世界トップクラスだ。経済成長によって国内需要も伸びており、今後も輸入量は減りそうにない。
昨年10月の生物多様性条約第10回締約国会議では、マダガスカルで違法伐採された木材の98%が中国に輸出されているとの報告があった。中国の輸入量の3分の2を占めるロシアでも違法伐採が横行しているとみられている。
中国企業は日本国内の森林も買収しており、「水源を奪われる」と危惧する声も出ている。「水源の確保」は中国にとっては重要で、他国に流れるはずの水を、源流で自国のほうに向けてしまうということを実際にやり始めた。
昨年11月、ヒマラヤの北側を源流とし、中国側を通ってからインド方向に流れ落ちるヤルンツァンポ川に、水力発電用のダムの建設を開始。インド側にとってはガンジス川に合流する重要な水源。水の取り合いで、武力衝突にまで発展する恐れも指摘されている。
ロシアから輸入する丸太の検収と積み込み作業が行われている中露国境。
近年は、付加価値をつけたいロシアの意向で、丸太から製材品へと輸入品目が変わりつつある
※中国林業発展報告、中国林業出版社の資料をもとに作成
写真/堀 靖人(森林総合研究所)
― [現地ルポ]中国の狡猾資源戦略を暴く【5】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ