目撃者なのに犯人に!? やっぱり多い痴漢冤罪
―[冤罪の魔の手がオレたちを狙う]―
目撃者なのに犯人に!? やっぱり多い痴漢冤罪
被害者と取り締まる側の一方的な証言ばかりが通用するため、冤罪を疑われる痴漢事件は数多い。
10年4月27日朝、京王井の頭線車内で、女子高生への「痴漢」容疑で逮捕されたホストのKさん(25歳)のケースもその一つ。物証もなく目撃者もいないが、女子高生が「この人が犯人」と証言し、そのまま有罪となったのだ。
「電車に乗ったら、前にいたおじさんが女のコのお尻を触っていたんですよ。その手を掴もうとしたら、スーッてそのまま後ろ向きに逃げていった。で、女のコが振り返って、僕のほうをじっと見た。『えっ? 僕じゃないでしょ』って思ったけど、そう言うのも変だし。嫌だから次の駅で降りたんですよ。そうしたら後ろから駅員に声を掛けられて、『女のコが痴漢された』と。『僕じゃない。痴漢している人見たよ。顔も覚えてるから、なんなら電車止めてよ』って言ったんですけど、『警察で話してくれ』と取り合ってくれませんでした」
警察では「認めれば帰れるけど、認めなければ帰せない」と言われたという。しかしKさんは否認を続け、身柄拘束は28日に及んだ。
事件を担当する柏谷周希弁護士は「女性供述の不自然な変遷と、不合理な弁解がされている」と指摘する。「女子高生は、警察の捜査段階では『犯人の右手を掴んだ』としていました。しかし、検察の取り調べでは『どちらの手かわからない』と変わりました(Kさんは手を掴まれていないと主張)。実はこの前日、繊維鑑定でKさんの右手には繊維なしという結果が出ていました。この変遷に対し、女子高生は『警察に当初から説明していたが調書を直してくれなかった』と不合理な弁解をしたのです」
無実を訴え、否認を貫くKさん。地裁判決は懲役6か月執行猶予3年。女子高生が供述を変えたことについては「合理的に説明している」とした。控訴審は今年3月、東京高裁で第1回公判が開かれる。
このケースに限らず、痴漢事件では、メチャクチャな理由で冤罪が毎日のように生み出されている。
「何回も認めようかと思いました。でも、そのたびに犯人のおじさんの顔が
出てくるんです。あそこまでしっかり顔を見ていたら認められない」とKさん
(写真はイメージで、事件とは無関係です)
― 痴漢だけじゃない!冤罪の魔の手がオレたちを狙う【5】 ―
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