避難して3日間を生き延びても通常の生活が送れない
―[[防災の常識]は非常識だらけ!!]―
知人が避難している石巻市内の小学校に向かった。ここには震災当日、1000人を超す人が避難してきたそうだ。震災から5日後も、200~300人が残っていた。卒業式用の飾りが目につく校舎に一歩踏み込んだとき、最初の印象は「臭い」だった。トイレの臭いが廊下に充満していたのだ。顔こそしかめなかったが、僕の戸惑いを察した知人は、「大便はプールの水を使って流す。トイレットペーパーはゴミ袋に捨てる」というルールを避難者が自主的に作ったが、臭いだけはどうしようもないと教えてくれた。これまでは、3日も経過すれば救助や援助物資が届いて衛生状態も改善されるものとされていた。だが避難所では不衛生による食中毒や体調不良者が続出していた。
遅れた理由は、石巻に限らず沿岸部の地域へ入る道の多くが津波で運ばれた瓦礫や崩壊で遮断されていたことにある。そのため被災者たちは、被災した自宅から食料や布団を持ち寄って生活していた。本来、リーダーシップをとって物資の調達や生活のルール作りをする行政担当者も被災しているのだから、無理はない。避難所のルールは使用者の秩序によってしか保たれない状況だった。
[防災の常識]は非常識だらけ!! -【4】
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