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森永製菓が日本初の「循環型支援」チョコ発売

70g森永チョコレート<1チョコfor1スマイル>

「森永チョコレート<1チョコfor1スマイル>」(315円)は、キャンペーンの詳しい解説つき。板チョコが2枚入っているのは、「生産地の人たちのことを思い浮かべながら、親子や恋人同士で分け合って食べてほしい」という開発担当者の思いが込められている。

 チョコレートを食べることで、生産地の人々に幸せのおすそ分けができる。そんな付加価値のついたチョコレートが発売される。  森永製菓が2013年のバレンタインシーズンに向けて発売する、特定地区のカカオを使用したチョコレート「森永チョコレート<1チョコfor1スマイル>」(315円)、「ダース<ミルク>」(105円)がそれだ。  同社は2008年から「1チョコfor1スマイル」というカカオ原産国の子ども支援キャンペーンを行ってきた。キャンペーン期間中に対象のチョコレート1個が売れるたびに、1円が支援金として支払われる仕組みだ。そのお金は国際協力NGOを通じて、ガーナなどカカオ生産地の子どもたちの支援を目的として、児童労働をなくすための活動や教育・医療・農業支援に使われている。昨年のキャンペーン(2012年1月5日~2月14日)では2278万7039円が集まった。  今年はそれがさらに進化した形となる。ガーナ共和国アシャンティ州クワベナ・アクワ村など、これまで特定非営利活動法人「ACE」を通じて支援してきた地区のカカオを買いつけ、ガーナ国内でカカオマスに加工して商品化するという。製品に使われるカカオマスのうち、支援地区のカカオマスを「ダース」は8.8%、「森永チョコレート」は80.4%使用する。このことで消費者と生産者の間で「支援の循環」ができ、生産地の経済的な安定にもつながる。これは日本の大手菓子メーカーでは初の試みだ。  支援策としては画期的な試みだが、「ダース」は同社の主力商品。他社との価格競争のなか、安価な商品でそこまでやるのは大変なことだろう。
八木格,森永製菓

森永製菓菓子マーケティング部の八木格さん。「できるだけ多くの方に知っていただき、多くの方に召し上がっていただくことが、『支援の循環』をさらに大きく広げていくための一歩だと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします」

「お客様にいちばんわかりやすい形でやりたい、ということであえてメインブランドで始めました」と森永製菓・菓子マーケティング部の八木格さんは語る。 「原料コストはアップしてしまいます。でも、これもマーケティングの一貫として考えれば、マス広告を投入するのにお金をかけるか、支援にお金をかけるかという選択の違いでしかありません。これを付加価値として、お客様が商品を選ぶ際の動機にしていただきたいと考えています」  特定地区のカカオを使うにはさまざまな困難があったという。 「単純に原材料費は高くなりますし、豆のグレードや味の調整にも苦労しました。また、小さな村単位で選別してカカオを買うというのは前例がなく、従来とはまったく違った流通ルートをつくらなくてはなりませんでした。商社、加工業者、集荷業者などにプロジェクトの意義を粘り強く説明して、ようやく実現にこぎつけることができました。でも、いちばん大変だったのは社内での説得です。生産地の人々がどれだけ貧困に苦しんでいるかということは、実は私たちもよく知らなかったのです」(同)
12粒ダース<ミルク>

森永製菓の主力商品「ダース<ミルク>」(105円)。12粒入り。

 そこで「まずは現場を知らなければならない」と、ガーナの支援地区に社員を派遣。社内でも研修会を行うなどしてカカオ生産地の現状についての理解を深めていった。 「もっとロットが大きくなれば、支援地区のカカオの割合もさらに増やせますし、今後ほかの商品にも取り入れることができるでしょう。すべてはこのキャンペーンの成功にかかっています」(同)  生産者から安く買い叩き過ぎない商品、支援につながる商品。そんなことも、モノを買うときの基準の一つにしたい。<取材・文/北村土龍> ※キャンペーンの最新情報はTwitterの森永チョコレート公式アカウント(@MorinagaChoco)にて ※カカオ生産地の実態についてはこちらを参照ください
⇒2億1500万人の子どもを「児童労働」から救え https://nikkan-spa.jp/342046
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