専門家も断言「保活には父親の力も必要不可」
―[パパが見た[保活地獄]の阿鼻叫喚]―
待機児童問題が叫ばれて久しいなか、子供を保育園に入れる活動、通称「保活」も激化の一途を辿っている。「なんとか我が子をいい保育園に入れたい……」。そんな思いで各家庭が鎬を削る裏では、壮絶な保活に巻き込まれ、悲惨な目に遭う家族の姿があった!
◆夫は結婚時から保活にフルコミットすべし!
今後も劇的な改善は望めなさそうな保活をめぐる状況。そのなかで、父親たちはどう対応していくべきなのか。
「保活は子供を入園させるまででなく、その後、小学校入学までついてまわる問題。家族計画の一つとして夫婦で取り組むべき」と語るのは、父親の育児支援などを行うNPO法人「ファザーリング・ジャパン」代表の吉田大樹氏だ。3人の子供を持つ吉田氏自身も、保活で苦労をした経験を持つ。
「『出産後も働きたい』という妻を応援していたんですが、入園時点では専業主婦だったので、認可保育園に入れませんでした。結局、料金の高い認可外保育所に預けましたが、その後生まれた長女は経済的な理由で認可外保育園に預けることを断念し、妻は専業主婦を続けざるをえなかった。でも、『働きたいのに働けない』と精神的にも不安定になっていた妻は不満をぶつけることが増え、この頃から夫婦の間に溝ができてしまった」
入れる認可保育園を求め、吉田氏はより郊外へと、リサーチをしていったという。
「各地の保育所担当部署に問い合わせ、何か所も待機児童の状況を調べました。当時は埼玉県上尾市に住んでいたのですが、ようやく認可保育園の空きを見つけたのは埼玉県鴻巣市。家族みんなで引っ越しして、なんとか下の2人を無事に認可保育園に入園させることができたのですが……その頃には妻との関係はより悪化していました。結局、妻は家を出ていった。言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、もっと早く保育問題が解決していれば、今の状況も違うものになっていたかもしれません」
◆保活には、父親の力が必要不可決な場面がある
自身の経験を踏まえ、吉田氏は「父親ならではの強みを保活にも生かすべき」と断言する。
「保活をしているお母さん方のなかには『私だけだと役所とのやりとりがどうしても感情的になってしまう』と悩んでいる方も少なくありません。そんなときこそ、社会経験から理詰めで交渉できる男性の特徴を生かすべき。保活をこじらせると、家族計画が大きく狂います。保活は、結婚当初からスタートさせたほうがいい。そして、母親に任せるのではなく、父親も最初からフルコミットすべきです」
【吉田大樹氏】
NPO法人ファザーリング・ジャパン代表。「父親であることを楽しむ生き方」を目的に、父親向けのセミナーやシンポジウムなどを開催し、全国各地で精力的に活動を行っている
取材・文/青山由佳 加藤カジカ 西澤まどか 平野友季 吉岡 俊
― パパが見た[保活地獄]の阿鼻叫喚【7】 ―
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