怒涛の円安はキャピタルフライトを起こす

◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏

“黒岩田”日本銀行は第1回金融政策決定会合からアクセル全開となった。市場は円安に反応し、連動して株価も大幅続伸。順風満帆に見えるアベノミクスだが、裏側に「資本逃避」という恐怖が迫っていることを忘れてはならない

◆インフレ予想で進む円安&株高。これらの宴はいつ終焉を迎えるのか【後編】⇒【前編】はこちら

 しかし、喜んでばかりはいられない。日銀の金融緩和=円安進行に対して、別の角度から警告が示され始めている。かの高名な投資家のジョージ・ソロスが4月6日に聞き逃せない発言を示している。

 それは、人々が円安の持続に確信を持ち始めると、円安が雪崩のように進行するリスクが生まれるということだ。債券利回りが0.5%で、円が5%下落すると、海外投資家のリターンは▲4.5%になる。こうなると、日本からの「資本逃避=キャピタルフライト」が発生する。

 今回の円安は’95年の円安と類似点が多い。大規模な為替介入と日銀の金融緩和で円高から円安に転換した局面だ。結局、当時の日本円は1ドル79円から147円まで、3年かけて50円幅で円安に振れた。株価は当初上昇したが、橋本政権が増税方針を閣議決定した瞬間から暴落に転じたのである。

 目先は円安・株高の反応が維持されているが、円安・インフレ率上昇はいずれ長期金利上昇をもたらすだろう。そのときが株高と訣別する時になるのかもしれない。

【今週の数字】
過去の円ドルレート
1ドル=147円
「量・質ともに次元の違う金融緩和」が始動し、円安・株高の好調なスタートを切ったかに見える黒岩田日本銀行。だが、このまま円安が進行してしまえば、海外投資家の「資本逃避」が進んでしまうだろう

円安・株高

'95年時は1ドル=147円まで円安が進んだものの、株価は'96年に高値をつけて以降、下落。今でこそ、円安・株高が連動しているが、どこかのタイミングで円安は経済に害をもたらしかねない

【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ」「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。近著に『金利為替株価大躍動』(ビジネス社)




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