デジタル

海外ソシャゲ企業CEOが語る「日本での勝算」

Kevin Chou,kabam

Kevin Chou(ケビン・チョウ)氏

 年々、存在感を増しているソーシャルゲーム。今年に入ってからも、大人気のパズドラをはじめとするカード系を中心に好調のようにみえる。そんななか、アメリカに拠点を置くKabam(カバム)が、日本のソーシャルゲームディベロッパーの海外展開を支援するための総額5000万ドルのファンドを設立したほか、日本市場でのビジネス展開をスタートさせた。

 kabamは、2006年創業のFree to Play方式(基本無料でプレイでき、付加価値を付ける課金が用意されているゲーム。F2Pとも表記される)のゲームを運営する企業で、欧米のトップディベロッパーの一つ。2012年度の年間推定収益は2億7000万ドルで、インテル、ワーナーブラザーズなどの大手企業からの資金調達にも成功していることからも、注目の高さがうかがえる。

 そんなkabamが日本市場に狙いを定めた理由とは? ファンド立ち上げ時に来日したkabam共同創業者で最高経営責任者のKevin Chou(ケビン・チョウ)氏に話を伺った。

―― ファンドの規模と目的は?

「総額は5000万ドルです。ユニークな日本のゲームが北米や欧州に進出し、成功するためのマーケティング費用として考えています。出資や株式の取得ではありません。対象はハイクオリティなゲームを提供する企業を厳選し、5~15社を想定しています。基本的には日本で成功しているゲーム、ブレイクの兆しのあるゲームです。私たちによって、収益を2倍にするチャンスを与えられたらと思っています」

―― 具体的にはどの様な支援を?

「マーケティング費用を捻出する以外にも、協業して輸出するうえでの広いお手伝いをします。欧米のコンシューマーについては、私たちが最も知り尽くしている自信があります。各地域に応じた専門のテクノロジー、プロダクト管理のノウハウ、マーケティングなどをサポートします」

―― 日本のゲームの印象は?

「日本は、優秀なディベロッパーが揃っています。個人的に感銘を受けたゲームは『パズル&ドラゴンズ』です。“ガラパゴス”と、日本人は表現しますが、“ガチャ”などの仕組みは、欧米でもウケると思います。今後は家庭用ゲームのディベロッパーが、モバイルの世界で活躍できるかに注目しています。家庭用ゲーム品質のゲームを期待して、モバイルをはじめたばかりの企業と協業したいですね」

―― 昨年“コンプガチャ”は社会問題にもなりましたが、欧米ではどうでしょう?

「コンプガチャについてはもちろん知っています。欧米では、未成年に対して様々な規制があります。さらに、13歳以下のこどもはチャット禁止などもあります。地域ごとに適切な対応が必要になってきます」

―― kabamは日本でどの様に展開していく?

「慎重な長期プランを考えています。kabamは日本で認知度がまだ低いですし、様々なパートーナーと組んでいきます。すでに日本のディベロッパーとは話をすすめていて、よい反応もいただいているので、遅くないうちによい発表ができると思います」

―― kabamが提供するゲームの特徴は?

「kabamの強みの一つ『ホビット 思いがけない冒険』などの映画版権ゲームがヒットしています。2013年5月には日本でも『ワイルド・スピード6』のレーシングゲームがリリースされました。日本はカードバトルゲームが中心になっていて、飽和状態になっています。そこに、他のゲームを投入していくことで、さらなら可能性が広まればと思います」

 kabamは、インテル、ワーナーブラザーズなどの大手企業からの投資をうけて成長を続けており、ワーナー社CEOが同社の取締役に名を連ね、映画のゲーム化を促進している。kabamが日本のソーシャルゲーム業界にどの様な影響を与えるのか。今後の動きに注目していきたい。 <取材・文/林健太 撮影/山川修一>




おすすめ記事