ローカルおやつはコミュニケーションツールだ
―[全国[ローカルおやつ]自慢大会]―
幼い頃に親しんだお菓子が、よその土地では存在すら知られていないことに驚愕したことはないだろうか? 全国各地で“当たり前”に食べられているローカルのお菓子。ナショナルブランドにはないその魅力を、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さんと地元発信型ご当地グルメサイト『ぐるたび』の鴻野裕未さんが食しつつ語り合う――
◆対談・ローカルお菓子はコミュニケーションツールである!?
菅原:私は東京出身なんですけど、結婚して愛知県の豊田市に移ってから、スーパーに売っているものが違うのに驚いて。それから旅先でスーパーに通うようになったんです。その地域の食文化を映し出しつつも、スーパーにあるものだから安い! 主婦にはうれしくて。
鴻野:地元の人にとっては本当に普通の食べ物なんですよね。私たちの『ぐるたび』は、一般の方々がご当地グルメを紹介できるサイトなんですが、その投稿を見て初めて「これ全国区じゃないの!?」と気づく方も多いみたいです。菅原さんが特においしかったご当地おやつって何ですか?
菅原:福井の江川の『水ようかん』。
鴻野:『ぐるたび』でも福井の方が「水ようかんは江川派」とコメントしています。あのパッケージが店頭に並ぶと冬が来たなって思うそうです。
菅原:冬季限定で、こたつで食べるおやつなのよね。平らな箱に入った佇まい、ヘラで切ってぺろーんと食べる食べ方もいい。食べる行為そのものがおいしい感じ。
鴻野:食べ方も大事ですよね。『ピーナッツ味噌』は、私の地元・千葉県ではご飯にのせても食べます。
菅原:イチオシの愛知の郷土菓子『鬼まんじゅう』も、ご飯代わりに食べます。あと、地域ならではの食材にも注目したい。北海道産小麦を使った『ミルクカステーラ』(島川製菓)とか。この『オランダせんべい』もそうかな? ワッフルっぽいけど……ちぎれない……。
鴻野:もっちり硬い感じですね。
菅原:でも牛乳と一緒に北海道の“現場”で食べると、味わいは違うはず。いつも思うんだけど、人は簡単に「おいしい」とか「まずい」って言うけど、何さまか!?と。
鴻野:(笑)
菅原:特に地域のお菓子って、単純に「おいしい・まずい」で判断できるものじゃないんですよね。“商品の向こう側”にある生活や食文化、歴史を込みで味わうものだから。
⇒【後編】はコチラ https://nikkan-spa.jp/487273
●島川製菓「ミルクカステーラ」
http://www.shimakawa-seika.com/
◆2人のオススメ! お土産にしたいローカルお菓子
【愛知・モチモチ感満点のいもまんじゅう】鬼まんじゅう
小麦粉と砂糖を混ぜ合わせた生地に、角切りのさつまいもを加えて蒸したお菓子。一般的なまんじゅうよりも生地のモチモチ感が強いのが特徴。愛知県や岐阜県では庶民のお菓子として親しまれ、自宅で作る家庭もある。菅原さんのオススメは名古屋市千種区の梅花堂のもの
【菅原佳己氏】
夫の転勤や車旅行でご当地スーパーの魅力に目覚め、スーパーマーケット研究家に。東京都出身、愛知県在住。著書に『日本全国ご当地スーパー 掘り出しの逸品』
【鴻野裕未氏】
ぐるなび トラベルグループ シニアリーダー。地元発信型ご当地グルメサイト、食文化をテーマにした旅の提案をする「ぐるたび」(http://gurutabi.gnavi.co.jp)の運営に携わる。自身は千葉県の出身
― 全国[ローカルおやつ]自慢大会【10】 ―
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