雑学

ユカたん、しるこサンド…お土産にしたいローカルお菓子

幼い頃に親しんだお菓子が、よその土地では存在すら知られていないことに驚愕したことはないだろうか? 全国各地で“当たり前”に食べられているローカルのお菓子。ナショナルブランドにはないその魅力を、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さんと地元発信型ご当地グルメサイト『ぐるたび』の鴻野裕未さんが食しつつ語り合う――

⇒【前編】http://nikkan-spa.jp/487272

【対談・後編】ローカルおやつをお土産に

「ユカたん」(ニシムラファミリー)

ニシムラファミリー「ユカたん」(wikipediaより)

菅原:地域のお菓子って、単純に「おいしい・まずい」で判断できるものじゃないんですよね。“商品の向こう側”にある生活や食文化、歴史を込みで味わうものだから。例えば、北海道の『ユカたん』。

鴻野:「レモンケーキ」で有名なニシムラファミリーの商品ですね。

菅原:そうそう。もともと西村食品工業という会社で、創業社長の西村久蔵さんは、その生きざまが三浦綾子さんの小説『愛の鬼才』でも描かれたほど。敬虔なクリスチャンで、聴覚障害者の人が働く店の創設に協力したり、いろんな慈善事業をしていて、『ユカたん』も働いていた人の名前だとか。そういう話を知ると、もう食べたときの感覚がガラリと変わる。

鴻野:西村食品工業が倒産後、地元のファンから「ユカたんを食べたい!」という声が根強く、散り散りになった元社員が集まって、ニシムラファミリーっていう新しい会社をつくったらしいです。それで『ユカたん』も復活して……。

菅原:感動ですよねえ。ただ、復活する会社によっては裏に大きなメーカーがついて、味も含めて商品自体が洗練されちゃう場合も。

鴻野:小さなメーカーのものは、パッケージも素朴でかわいいものが多いですよね。

菅原:創業社長が描いた絵が、そのまま載ってるのとか最高! ご当地おやつはパッケージの表から裏の表示まで読んでほしいですね。そこにも発見があったり、変なことが書いてあったりするから。

鴻野:ミレービスケット』のフォントとかいい感じですよね。

菅原:でも、『ミレービスケット』はパッケージが新しくなってしまった。一方で、熊本の『亀せん』は、昭和30年代のまま。これはもう食のタイムカプセル。

菅原:お菓子から隠れた歴史が見えたりもします。例えば福井や富山に昆布を使ったお菓子が多いのは、昔、北前船が北海道から大阪に昆布を運ぶときに、この地域を経由したから。

鴻野:歴史がお菓子にも映し出されている。勉強にもなります(笑)。

菅原:あと、お菓子を通して地域の味覚の違いもわかる。『満月ポン』は関西のお菓子だから薄味なんだけど、私のような関東出身者にうれしい「1.5倍味」もある。『満月ポン』は自分の舌が東か西かを知るリトマス試験紙になるんです。

鴻野:私の出身の千葉もしょうゆの生産地だからか、味が濃いものが多い気がします。

菅原:隠れた地域差や文化まで楽しめるから、ご当地おやつって、もっとお土産に使われてもいいと思うんです。高級銘菓だと「高かったのよ!」「うん……おいしいね」くらいで終わってしまうけど、例えば、『しるこサンド』を渡されたら「何コレ?」ってなる。

鴻野:情報まで添えて渡してあげるのがいいでしょうね。会社で気軽に配るようなお土産なら、ご当地おやつは大いにアリでしょう。

菅原:家族への土産にも絶対にいいですよ。食卓でもケータイいじったり、テレビ見たりで会話のない家庭も、ツッコミどころ満載のご当地おやつがあれば、会話も生まれてひとつになれます!

◆2人のオススメ! お土産にしたいローカルお菓子

【北海道・名前の由来は「社員の愛称!」!?】ユカたん(ニシムラファミリー)
北海道の西村食品工業が1980年頃から販売していた、ふんわりしたシフォン生地にカスタードクリームが入った菓子。名前は社内の女のコの愛称から。同社は2003年に経営破綻したが、ユカたん復活を望む声が根強く、関連会社のニシムラファミリーで見事に復活を果たした

【菅原佳己氏】
夫の転勤や車旅行でご当地スーパーの魅力に目覚め、スーパーマーケット研究家に。東京都出身、愛知県在住。著書に『日本全国ご当地スーパー 掘り出しの逸品

【鴻野裕未氏】
ぐるなび トラベルグループ シニアリーダー。地元発信型ご当地グルメサイト、食文化をテーマにした旅の提案をする「ぐるたび」(http://gurutabi.gnavi.co.jp)の運営に携わる。自身は千葉県の出身

取材・文/志賀むつみ 田山奈津子 古澤誠一郎 港乃ヨーコ 鈴木靖子(本誌) 撮影/落合星文
― 全国[ローカルおやつ]自慢大会【11】 ―

日本全国ご当地スーパー 掘り出しの逸品

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