注目度はカウンタック並み!スーパーカー級の加速テスラ・モデルS
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
今、話題のEV(電気自動車)といえばBMW i3。日産リーフや三菱i‐MiEVを擁する、わが国に送り込まれた欧州からの刺客ですが、一方で米国からも黒船が襲来中。それが今回乗ったテスラ・モデルSです。EVといえば、ハイブリッドカー同様に日本がリードしているとばかり思ってましたが、猛烈な敗北感を覚えました
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MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆テスラ・モデルSの戦略は織田信長。これが現状のEVの正解だと感じました
ケータイと同じパターンだ。リードしていたはずのEVで、ニッポンは負けた! いつの間にかインターフェイスの差で逆転され、そのまま差が広がるばかり。EVもこのパターンにはまっちまった。テスラ・モデルSは、ガラケーに対するスマホそのものだ。
これを知ったらもう、日産リーフや三菱i‐MiEVなんか、石器時代のEVに思えて乗る気がしない。技術は同じでも、インターフェイスが違いすぎる!
テスラ・モデルSの何が凄いかといって、一番凄いのは、インパネに巨大なiPadが貼り付いていることじゃなかろうか? いや別にiPadじゃないんですけど、縦長長方形の形がそう見えるので。サイズは17インチ。iPadが9.7インチだから、面積は約3倍だ。
ほとんどの操作はこの17インチタッチスクリーンでやる。その時点で、クルマというよりスマホでしょ? 私は運転中、カメラマンに「ヘッドライトを点けろ」と指示されて、操作がわかりませんでした。レバーの先をカチカチ回したりするんじゃなく、タッチスクリーンでやるんだよね。通常は「AUTO」に設定されているので、暗くなったら勝手に点くんだけど。
このスクリーンいっぱいにナビ画面を表示することもできる。グーグルマップだけど。タダのものは目いっぱい使うというこの考え方、自動車メーカーのものじゃない! ホンダなんかトラフィックデータのシステムまで自前で整備したのに!
クルマそのものも、自動車というよりiPadに近い。どこにも機械の部分が見えない! 前も後ろもハッチの下には機械類がなにもない。モーターやバッテリーの出っ張りも皆無。iPadに機械の部分が感じられないように!
鍵穴もない。鍵を持った人間が近づくだけで、ボディに埋め込まれたドアノブがせり出してくるし、電源ONのボタンもない。「ON・OFF」という考え方そのものを省略している!
そして、航続距離は最大502km。これだけ走れば電欠の心配はまずない。家で充電すればいいから、出先で充電ステーションを探す必要もない。つまりインフラの充実を待たなくていい。スマホはバッテリーの持ちが悪いけど、これに関しては逆ですな。
乗っていて漂うのは、「俺はエリートだ!」という強烈な優越感だった。スーパーカー級の加速で突っ走れて、注目度の高さもカウンタック並み。めんどくさいこともない。もうね、環境ウンヌンなんてどうでもいいのよ! これはエリートのクルマ! それが最大の魅力!
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