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ユーロ・バブル破裂という「ドラギ相場」の核心

吉田 恒

吉田 恒氏

 ECBは5日、マイナス金利政策などを決定しました。この日のドラギECB総裁の記者会見について、「ユーロを守るためなら『何でもやる』と発言した2012年夏以来の劇的な内容だった」(ブルームバーグ)との解説もありました。その2012年夏から、欧州債務危機は改善に向かい、そしてユーロ高が始まりました。では今度は、新たなユーロ安が始まっているのでしょうか。

◆ユーロ安大相場のシナリオ

 2012年夏の「劇的な内容」とは、ECBのOMTという政策で、その中核は債務不安の国の債券を条件付きでECBが無制限に購入するというものでした。いざとなったらECBが引き受けるとなったことで、当時欧州債務不安の主役のような存在だったスペイン国債などは、デフォルトの懸念がなくなると一転して「極めて格安な資産」となったのでしょう。

 スペインやイタリアなどの「格安な国債」を、ユーロ圏以外から購入する投資家は、国債価格とユーロ相場という2つの値上がり益を享受できる2年が続いてきたと考えられます。こういったなかで、7%の利回りでも買い手のなかったスペイン国債は、2%台まで利回りが低下しても買い手の途絶えない人気運用商品になったのでしょう。

 ただ、そもそも2年前、欧州の大国の一つであるスペインの国債は本当にデフォルトする可能性があったのか。途中からは過剰な悲観論になっていたのではないか。そして、そんなデフォルトが懸念されていたスペイン国債が、たったの2年で利回りが2%台に低下しても買い手が途絶えない、これは一転して過剰な楽観論ではないのか。

 「過剰か」は、常識と照らし合わせて判断できるものですが、客観指標を参考にする方法もあります。ユーロドルと米独2年金利差のグラフを重ねると、2年前の2012年末は、金利差で説明できないユーロ安、そして最近は正反対で金利差で説明できないユーロ高になっています<資料参照>。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=657716

ユーロ・バブル破裂という「ドラギ相場」の核心

<資料>

 2年前の「劇的な内容」は、そういったなかで相場転換のきっかけになりました。今度も「劇的な内容」ということなら、以上のように考えると、方向は反対ながら、やはり相場転換のきっかけになっている可能性を注目する必要があるでしょう。

 それにしても、2年前の「劇的な内容」は、実際には使用されることはありませんでした。使用しなくても、債務危機が後退し、ユーロ高になったからです。これも、2年前の局面転換の本質が、「劇的な内容」以上に、「過剰な悲観論」に伴う下がり過ぎにあった可能性を感じさせることでしょう。

 それを教訓にすれば、今回の局面転換の本質も、どんな「劇的な内容」なのかということより、「過剰な楽観論」なのかという評価になるでしょう。そしてそんな見方が正しいなら、「ユーロなどマーケットの行方はECBがどんな決定をするか次第」といった話にはならないでしょう。

 そんな考え方からすると、より重要なのは、ECBの決定の中身より、「過剰な楽観」相場の修正は、2年前の「過剰な悲観」相場の修正とどこまで類似するかといったすこぶる値動きの分析に収れんするのではないでしょうか。 (了)

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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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