雑学

なぜ[健康情報]にはウソがはびこるのか?

 自分がこれまで信じていた人間ドックや健康診断の数値は、実は間違っていた? 日本の医療関係者や患者たちの間にそんな激震が走ったのは、今年4月。ことの発端は日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が共同研究している「新たな健診の基本検査の基準範囲」という論文だった。両団体は、人間ドック健康診断の受診者数約150万人のなかから、「スーパーノーマル(超健康人)」と呼ばれる約1万~1万5000人のデータを調査。そこで超健康人の血圧などの各項目を基に「基準値」を発表したのだが、その数値の大半は、従来の医療現場で用いられていた数値とは異なっていたのだ。

 我々が普段、何げなく受け止めてきた健康情報にミスリードやウソ、誤解が含まれている確率も決して低くはないということ。そんな「健康情報のカラクリ」をSPA!取材班が追った。

◆なぜ[健康情報]にはウソがはびこるのか?

 そもそもなぜこうも巷の健康情報にはウソや誤解が紛れているのだろうか。医学博士の川嶋朗氏はその理由をこう分析する。

川嶋朗氏

川嶋朗氏

「大前提として万人に通用する健康法は存在しません。それなのに、個別の成功例だけをクローズアップした体験談が、あたかも誰にでもあてはまるかのように発表されてしまうこと。また、それに対してマスコミが真偽を確かめずに報道してしまうことが、健康情報にミスリードを招く要因になっているのではないでしょうか」

 実際、医師が提唱していても、科学的には根拠が乏しい健康法はたくさんあると川嶋氏は続ける。

「たとえば、かつて流行した『一日1食で長寿遺伝子にスイッチを入れる』健康法も、論拠となる科学データに不備があったことが指摘され、今では医学的に否定されています。なぜこうしたことが起こるのかというと、現代医学ではひとつの結論を導くために仮にその結論に反するデータがあっても、恣意的にそれを無視することがあります。結果、間違ったデータをもとに作られた不確かな健康情報が流布してしまうんです」

 こうした間違った健康法のなかでも特に事例が多いのが「食」。実際にある健康法のなかで、間違っているものをフードプロデューサーの南清貴氏が指摘する。

南清貴氏

南清貴氏

「まず、『朝食はしっかり食べろ』と言われますが、実は朝から重い食事をとるのは、準備運動なしに100mダッシュするようなもの。朝はせいぜい消化にいい果物を食べる程度のほうが体にいいです。また、同じように誤解されやすい事例の代表格が『カルシウムは牛乳で取れ』というもの。確かに牛乳にはカルシウムは含まれていますが、日本人の85%は牛乳からカルシウムを分解する消化酵素を持っていない。だから、小魚や野菜を食べたほうが断然、吸収率がいい。あと、『コンビニサラダで野菜不足を補う』ともいいますが、コンビニのサラダは次亜塩素酸ナトリウムという消毒液や塩素水に何度もつけて殺菌し、さらに薬の匂いを消すために繰り返し水洗いをします。そのため、店頭に並ぶ頃にはほとんど栄養素が残っていないんです」

 そして、残念なことに医師が営利のためにあえてミスリードを誘っているケースもある。なかでも歯科では、誤った情報がなかば“常識”となっているという。歯科医の長尾周格氏が次のようにそのカラクリを解説する。

長尾周格氏

長尾周格氏

「歯科業界は医療業界のなかでも、特に薄利多売の商売です。なぜなら歯科医は報酬が低いから。日本の保険制度での歯科医の診療報酬は、米国と比較すると20分の1程度。つまり、日本の歯科医は先進国のなかでも稀に見るほど報酬が低いため、ほかの医者よりも頻繁に定期健診を患者に押し付けざるを得ないんですよ」

 歯科医を訪れる最大の原因といえば虫歯。そもそも虫歯は摂取した糖から虫歯菌が酸を作り、歯を溶かすことで起こる。一般的には「歯磨きを丁寧にやれば虫歯は防げる」と思われているが……。

「虫歯が発生するのは小窩裂溝と呼ばれる歯ブラシでは磨けない細かな歯の溝。つまり、歯磨きは虫歯予防にならないんです。最近は虫歯予防にプラーク(歯垢)取りやフッ素治療が推奨されていますが、これも別に予防にはならないのに『歯垢を取れば予防になる』と余計な診療をすすめるわけです。フッ素にいたっては、アメリカではフッ素入り歯磨き粉は『毒物』の表示が義務付けられていますし、WHOでは6歳以下のフッ素洗口を禁止しています。毒物扱いされるフッ素をそれでも使うのは、日本の歯医者が診療を増やそうとしているからにほかなりません」

 我々が助けを求める医療も、一方では、他人の不幸や体の不調を金銭に換える、ひとつのビジネスだということを忘れてはならない。

【川嶋朗氏】
医学博士。東京有明医療大学教授。東洋医学研究所附属クリニックで診療。著書に『逆に病気を呼び込んでいる44の健康法』など多数

【南清貴氏】
フードプロデューサー。国際食学協会名誉理事長。『食のモノサシを変える生き方』『じつは怖い外食』など食に関する著書が多数ある

【長尾周格氏】
歯学博士。稲毛エルム歯科クリニック院長。予防歯科の観点から多彩な歯科医療を行う。著書に『歯医者が虫歯を作っている

イラスト/大ハシ正ヤ
― [健康情報のカラクリ]を暴く【1】 ―

逆に病気を呼び込んでいる44の健康法

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