LINE問題の山本府議は、佐村河内氏と同じ轍を踏んだ?
不祥事を起こした際、重要なのはその後いかに事態を収束させるかだ。そんな「不祥事・危機対応」に関して、多くの企業などから相談を受ける長谷川裕雅弁護士が、世間を騒がすスキャンダルの数々を「危機対応力」という面から読み解く――。
【第六回 山本大阪府議のLINE問題】
女子中学生らに対して不適切な送信をしたLINE事件で謝罪した、山本景大阪府議。謝罪する一方で、自らの権利主張も粛々と展開しています。主だったものは以下のような内容です。
・民放番組で「キモい」と評されたことが人権侵害であるとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)に申立て
・LINE問題の報道機関への情報リークを名誉棄損として、被疑者不詳のまま刑事告訴状を大阪府警察に発送
・所属政党による除団処分に対する不服申出
’14年8月12日付の府議のブログでは、LINE事件の事情を説明した上で、謝罪と刑事告発、BPOへの申立て、政党処分への不服をそれぞれ、項目を分けて説明しています。
府議としては、これらはすべて、事件に対する対応として両立するという考えです。それはそれ、これはこれで言うべきことは言わせてもらう、ということなのでしょう。なにが悪いかをわかっておらず、ただ頭を下げ続ける謝罪会見を見ているよりも、スッキリすることはします。
橋下徹党代表は公職の立場にあることを理由に、府議のBPOへの申立てを批判しました。たしかに議員に対する論評は広く認められており、たとえば発言内容が事実である限り、名誉棄損では処罰されません。
ただし職務と無関係の身体的特徴などについての発言は、事実であっても名誉棄損になりえます。ましてや今回問題となっている侮辱罪には、名誉棄損のような処罰しない旨の規定がありません。なので「批判は甘受するが全人格を否定する発言はおかしい」とする府議の考えにも一理ありそうです。
府議がまずいのは、非のある人間の役割を演じ切っていないところだと思います。LINE事件に対する反論ではない権利主張は人知れず行うべきで、刑事告訴や、BPOや政党への申立ても、広報する必要はない。権利主張することで、謝罪した効果が薄れてしまうからです。以前、ゴーストライター騒動で会見を開いた佐村河内氏も、謝罪会見の席で堂々と名誉棄損の主張をしたことが叩かれました。
府議による橋下氏に対する批判も意味がない。説得できない以上、敵を増やすだけでしょう。無駄なことは語らない。戦略的に広報活動をする能力が問われているのです。 <文/長谷川裕雅 構成/日刊SPA!取材班>
■長谷川裕雅(はせがわ・ひろまさ)■
東京弁護士法律事務所代表。朝日新聞記者を経て弁護士に転身。現在は政治家や芸能人のマスコミ対策を想定した不祥事・危機対応や、相続問題などにも取り組む。著書に『磯野家の相続』(すばる舎)、『なぜ酔った女性を口説くのは「非常に危険」なのか?』(プレジデント社)
■長谷川裕雅(はせがわ・ひろまさ)■
東京弁護士法律事務所代表。朝日新聞記者を経て弁護士に転身。現在は政治家や芸能人のマスコミ対策を想定した不祥事・危機対応や、相続問題などにも取り組む。著書に『磯野家の相続』(すばる舎)、『なぜ酔った女性を口説くのは「非常に危険」なのか?』(プレジデント社)
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