大人のサークル活動は“苦行”を楽しむ場!?
人脈を広げたい、友達を増やしたい、人のためになることがしたい……と仕事以外の場で集う大人たち。一見、充実した日々を送っていそうだが揉め事も絶えないとか。これまで課外活動の場の意外な荒れっぷり(https://nikkan-spa.jp/718800)を紹介してきた。
◆諍いは大人の集まりの宿命 サークルは苦行を楽しむ場!?
なぜ、楽しむことを目的に集まった者同士が、かくも醜い諍いを繰り広げるのか。コラムニストの石原壮一郎氏は、「諍いは大人の集まりの宿命」だと言う。
「サークル活動自体は積極的に行うべきだとは思っています。仕事で自己実現を目指し、うまくいけばいいけれど、ほとんどの場合、こちらが思うほど会社はこちらのことを思ってはいません。会社でも家でもない場は必要ですし、サークル活動では、仕事では得られない楽しさや損得ではないやりがいを与えてくれ、自分を認めてくれる居場所にもなる。でも、そこにこそ、トラブルのもとがある」
会社ならば、多少、合わない人間関係や意見の違いも「仕事だから仕方ない」「お金もらってるし」と自分をなだめる道もある。しかし、自分の居場所たるサークルの場は無条件に楽しい場であると人はなぜか思ってしまう。自分が楽しみたければ、他の人だって楽しくやりたいわけで、当然、大人の気配りやマナーは必要なのだが、それすら忘れるほどに、わがままになってしまうというのだ。
「加えて、サークルではこれまで出会ったことのないような価値観のまるで違う人と知り合うこともある。そこで、うまくやっていく努力なしに、『みんな仲良く』を目指せば、もっとも安易な方法として、異物を排除しよう、となる」
つまり、そもそも、バトルが起こるのがサークルで、サークルが楽しい集まりだと思うから、ややこしいことになるというわけ。
「皆、サークルに対しても他人に対しても、そして自分に対しても多大な期待を抱きすぎだと思うんです。この活動で自分を成長させようとか、人との出会いで新しい道を切り開こうといったことを言いだすと、大体、ろくなことになりません。もっと、そこそこ、まあまあでいいと思うんですけどね」
しかし、こちらが、そこそこ、まあまあでも、相手はいろいろ。サークル活動を続ける大人力としては、何が必要なのか?
「SNSもある種、大人の集いですよね。あそこで穏やかにやっていくには、実生活以上の気配りが必要で、一瞬たりとも油断は許されません。大人な遠回しの言い方を探り、自分と反対意見は軽やかにスルーしたり、受け入れたり。それができて初めて楽しめる。サークル活動も同じで、厄介な人間関係や、もめごとを攻略する苦行を含めて、楽しめばいいのでは」
【石原壮一郎氏】
’63年、三重県生まれ。コラムニスト。「伊勢うどん友の会」主宰。近著に『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』『大人のお金力』
取材・文/鈴木靖子 田山奈津子 松本祐貴 水越恵理子 取材協力/山脇麻生 イラスト/花小金井正幸
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