「マセラティなのに右ハンドルっていうのもスゴイ!」壊れるマセ様の専門家もうなる新型ギブリ
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
かつてクルマの故障の分野では、フェラーリやアルファロメオ、シトロエンなどが“故障の猛者”として恐れられてきたが、それらはだいたい’90年代に更生し猛者の名を返上。以後マセラティが宇宙一故障するクルマの座を守ってきた。しかし’97年にフェラーリの傘下に入ったマセ様は再生。今、猛烈に売れております。もう故障の帝王とは呼ばせない!?
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=撮影 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆壊れないマセラティを壊れるマセラティの専門家に乗ってもらいました【後編】
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さて、捨て身じゃなくても乗れる普及版マセラティである新型ギブリ、岡本氏の評価はどうか。
岡本:「こりゃスゴイ!」
オレ:「何が凄いんです!」
岡本:「歩道の段差を乗り越えても、下まわりをどこも擦らない!」
オレ:「これくらいはフェラーリでも行けますよ!?」
岡本:「いや~、昔のマセラティはダメです。まずマフラーが当たる。ものすごく下に出っ張ってんですよ。これは安心なクルマだ!」
さすが評価の基準が違う!
岡本:「マセラティなのに右ハンドルっていうのもスゴイ! おかげで駐車券が取りやすい!」
オレ:「そう言われれば!」
岡本:「走りもしっかりしてます。伝統のV6ツインターボ、低回転から怒濤のトルクは継承されてるし、なによりこれ、フツーに足になりますね!」
オレ:「そう言われれば! だからこそ売れ行き3倍増なんですネ!」
昔のマセラティを知ってる者からすると、新型は伝統のエロい内装にコストダウンが目立ったりもする。でも、宇宙一故障するビトルボ系マセラティと20年近くも格闘を続けてきた岡本氏にすれば、故障しない(たぶん)マセは、それだけで天使に見えるのかも。なんせ昔のは、ホーンを鳴らした瞬間に電気系がショートしてエンジン死亡、長期入院するようなクルマだったから!
ただ一か所、今回の試乗車も、ルームランプがずーっと点きっぱなしで、どうしても消せなかった。岡本さん、これはどこの故障でしょう。
岡本:「タイマーリレーか、ドアラッチ内蔵のマイクロスイッチでしょう。先々代クアトロポルテでもよく起きますよ、点かない側だけど」
オレ:「なるほど!」
と思ったら実はこれ故障ではなく、インパネの明るさをMAXにすると、自動的にルームランプが点くようになってるんだって(岡本氏も驚愕)。いったいナゼ!? こんなの他メーカーじゃ聞いたことない。さすがマセラティ!
まあとにかく、クルマなんてホントは、走れなくなんなきゃ故障のうちに入らないんでよろしく。
【結論】
岡本社長が、フツーに走るのがスゴイ!と絶賛のギブリ。これでもう、地上から壊れまくるクルマは消滅しました。寂しくって涙が出ます(ドM)。でもマセラティがメジャーになるのはうれしいです
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