ディープなクルマ好きの心に刺さる営業車・プロボックス&サクシード。新型の評価やいかに?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
自分が身銭を切って買ったクルマだったら、そりゃあ愛着が沸くでしょう。担当Kは、もらいもののクルマですら溺愛。自分のクルマってだけで愛情を注げます。では、会社のクルマだったらどうなのか? そんな疑問をいだきつつ、日本を代表する営業車プロボックス&サクシードの新型車に乗ってみました!
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MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=撮影 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆おもてなし精神満載。プロボックス&サクシードは営業マンの愛の城だ!
営業車の傑作・トヨタのプロボックス/サクシードがマイナーチェンジ! 基本性能から細かな使い勝手まで大幅刷新!と聞いて、全国の営業マンたちは胸を躍らせていることだろう。まずは身近な元営業マン、輸入中古車評論家の伊達軍曹と下流自動車評論家のマリオ二等兵に、営業車の美しい思い出を聞いてみようじゃないか。
伊達軍曹「昔ビール会社でバイトをしていた際、三菱ミニカの営業車に乗っていましたが、ひたすら遅いので常にアクセル全開で、燃費はリッター6kmと極悪、常にストレスを感じました」
営業車には愛のかけらもなかったという。ガーン。頼もしい仕事の相棒とか、そういうイイ話を期待していたんだが。じゃ次。
マリオ二等兵「お茶の卸会社で働いていたとき、クーラーもないマニュアルの軽トラで配送業務に当たっていました。最初はどうせならもっとエンジンフィールやハンドリングがいい営業車でまわりたいと思いましたが、そんなことはすぐにマヒし、どうでもよくなりました。やがて夏になると、今どきクーラーもない軽トラで配達をさせられるという劣悪な待遇への不満が爆発し、会社に対する憎悪の象徴になりました」
ぞぞぞぞぞ、憎悪の象徴!
マリオ「ホンダディーラーの営業マン時代は、入社後すぐに1台全損させてしまい、その後は罰として下取りで入ってきたボログルマを与えられました。このとき価値がゼロのボログルマは気楽でいいと思い、自分としては、営業車はボログルマが一番という感じです」
なんと殺伐としたコメントだろう……。思えば、街で見かける営業車はたいてい運転が乱暴、特に高速を走るプリウスの営業車は猛烈に荒い。人間は営業車に愛を感じ、胸躍らせることはないのか!?
マリオ「しょせんは配達の仕事で使うクルマなので、動けばなんでもいいという感じです。細かい使い勝手の善しあしなど、ほとんど気にもなりません!」
ガックリ……。とりあえず新型プロボックス/サクシードだ。実はこのクルマ、密かにクルマ好きの間で人気が高い。キモはなんの飾り気もないデザインや作り。素のライトバンなので、かえってディープなクルマ好きの心に刺さるのだ。私の周囲にも、高級自動車専門誌のデスク1名をはじめ、自動車カメラマン1名、メカニック1名がこれを愛車にしていた。人間は、営業車でも愛車になれば愛を感じるのだろうか。でも営業車である限り愛はないのだろうか。愛の疑問に心を乱しつつ、新型プロボックスの1300cc激安グレードに試乗した。
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