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「イスラム国」の外国人戦闘員 日本の生活保護に満たない薄給

「イスラム国」に合流する外国人戦闘員の内情

写真/日刊SPA!

 昨年10月、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に参加するために、シリアやイラクに入国した「外国人戦闘員」がトータルで1万5000人以上にのぼるとした国際急進主義研究センター(ICSR)のリポートが驚きをもって報じられたが、1月27日、このICSRのデータが新たに更新され再び衝撃が広がっている。

 それによると、昨年8月より開始された米軍など「有志連合」による空爆が激化しているにもかかわらず、わずか3か月で5000人もの外国人戦闘員が新たに合流。10月の時点でもっとも多かったチュニジア(3000人)やサウジアラビア(2500人)から参加する戦闘員の数が横ばいだったのに対し、当初412人だったフランスがおよそ3倍に当たる1200人となるなど、欧州からの参加者が5310人と激増しているのだ。

 ただ、ISの外国人戦闘員は国籍こそ欧州であるものの、アラブ系の2世や3世という例も多い。特に階級社会の名残があるフランスでは、先の週刊紙『シャルリ・エブド』襲撃テロの際に議論が噴出したように、疎外感に苦しむ2世、3世の若者らが、ネットを通じてISのプロパガンダに煽られ合流するというケースがほとんどとも言われている。国際社会において、新たな外国人参加者の流入をストップさせることがISとの戦いでもっとも重要な課題のひとつに挙げられているが、ここにきて「日本人戦闘員」の存在も一部報道では取り沙汰されるなど、外国からやって来るIS志願者を完全にシャットアウトするのは容易ではないというのが正直なところだろう。

 そもそも彼ら外国人戦闘員はどのようにしてISに合流しているのか。ISに3度の潜入取材を敢行し、『イスラム国とは何か』(旬報社・2月10日発売)の著書もあるジャーナリストの常岡浩介氏が話す。

「昨年10月に起きた北大生事件で、仲介役を買って出た古書店店主が、実はISとのパイプなど一切持っていなかったように、ムスリム(イスラム教徒)のほとんどいない日本にISへの渡航ルートはない。ただ一部報道で、昨年11月、アルジェリア系フランス人の夫と共にトルコ経由でISの支配地域入りしたとされる日本人女性(29)の存在が報じられましたが、ムスリムが多く、イスラムのコミュ二ティもあるフランスのような国ならばISに繋がるルートは存在します。実際に行くとしたらそういった国を経由しトルコ国境地帯から入るかたちですが、カリフを自称するバグダティが全イスラム教徒に参加を呼び掛けているので、『アラーのほかに神はなし』と唱え(信仰告白)、自分はスンニ派のイスラム教徒であり一緒に戦いたいと申し出れば、基本的には受け入れられるはず」

 つまり、ISの外国人戦闘員は「傭兵」の類はおらず、大前提としてイスラム教徒なのだ。常岡氏が続ける。

「仮に、傭兵ということなら報酬のよし悪しで参加を決めるが、ISはギャラも安く、物価の高いイラク側で月500ドル、シリア側では月660ドルと、日本の生活保護水準にも満たない薄給レベルです。純粋に人を殺すこと自体が目的だったとしても、曲がりなりにもISは“軍隊”なので、自由気ままに殺人をおこなえるわけでもない。ISに参加している外国人戦闘員には、ネットを通じたプロパガンダにまんまと乗せられて、実態もよくわからず合流してしまう人間も多く、本人的には宗教的動機を真面目に語っているつもりなのでしょうが、『人類を解放するため』などと考えているピュアでナイーブな“中2病”のような人種です。だからこそ、実際にISの内側に入ってみて、初めて『思い描いていた世界と違う』となってしまう……。当然、離脱しようとしても許されないわけで、ここにきて処刑される外国人戦闘員が目立って増えてきているのも頷ける」

 1月31日、英国のNGO「シリア人権監視団」は、ISが昨年6月から7か月間に1900人以上を処刑していたと発表した。そのうち、スパイ容疑をかけられたり、部隊を抜け出そうとした戦闘員の数は122人に上ったという。ほとんどはISの実態に失望し自らの祖国に帰ろうと試みたが、不幸にも捕まり命を絶たれたというが……。フランス政府は、1月から「聖戦(ジハード)参加抑止広報動画」を作成するなど、ISへの同調者がこれ以上増えないよう啓蒙ビデオを流すようになった。日本も近々、そんな予防策を講じなければいけない日が来るのかもしれない。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

イスラム国とは何か

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