谷繁元信「監督1年目の成績に満足したことなんか一度たりとてない」
―[俺の職場に天才はいらない]―
週刊SPA!連載<俺の職場に天才はいらない!>
谷繁元信監督兼選手の管理職的独り言
◆目標は優勝だから監督1年目の成績に満足したことなんか一度たりとてない!
兼任監督就任と同時にスタートしたSPA!の連載も2年目に突入。オレの管理職も2年目に入ったね。読者のみなさんは、オレの話ばかり読んでよく飽きないなぁ~って。でも、昨年11月の最終回から4か月も休んでいたんだね(笑)。
今日は2年目の連載スタートなので、まずは昨年を振り返ってみようと思う。
現役選手ひと筋で25年目を終えたオレは、昨年から選手兼任監督になり、1年を通して「勝つための組織作り」に注力してきたつもりだけど、手応えは……ハッキリ言うとまだ感じていないんだ。
なぜ手応えを感じていないのか?
それはもちろんチームとしての結果が出せなかったからにほかならない。プロ野球だから、結果だけでは表せない部分もある。だけどチームとして戦っている以上は、たとえどんなに下馬評の低いチームだって、優勝を目指して戦っているワケだし、その目標はぶれちゃダメなんだ。昨年のドラゴンズは4位。4位じゃ納得はできない。オレは勝ちたいんだよ。
惜しい4位、悔しい4位。同じ4位でもいろんな4位があるよ。じゃあオレたちの4位、ドラゴンズの4位はどんな4位だったのか? それは力がなかった4位だったとオレは思う。だから選手には力をつけさせるために練習をしっかりさせなきゃダメってこと。
◆目指すは1位、優勝それ以外は求めない
先日、MLB関係者からこんな話を聞いた。昨年、オレのドラゴンズ監督1年目の採点は「+7」だったらしい。これは一昨年の借金「13」、昨年の借金「6」を比較して、就任前年と就任元年の差を数値化して、前年からの上積みがどれだけあったかというものらしい。
でもね、正直、監督1年目の成績が+7だと言われても、オレたちは4位だったわけだし、そこは求めていない。+7を目指してんじゃなくて、優勝を目指してるんだから、+7って言われてもまだまだ。何度も言うけど、目標+7じゃないんだよ。1位、優勝ってとこが目標なんだよ。
オレの肩書は今年から「監督兼選手」に変わった。これはチームにおける役割分担の明確化と、監督がいて、選手がいて、チームが成立する原理をきちんと見直したかったから。その一つに「風通しのよい組織」にしたいって思いがある。オレが思う「風通しがよい組織」ってのは、「馴れ合い」みたいな仲よしの風通しではなく、しっかりとした意見を言い合うことができる組織なんだ。
去年のドラゴンズはどこかしら控えめな選手が多かったけど、今年に入って、少しずつ自分を表現できる選手が増えてきたような気がするんだ。こういう選手が増えていけば、選手同士の結束も強くなるし、チームとしてまとまりもできてくるんだよ。特に自分を表現し始めたなぁって思ったのは大島かな。中軸の選手としての自覚が芽生えたって言うかね……楽しみだよ。
そうそう、楽しみと言えば今年の若手、特に新入団選手だね。キャンプ帯同させたのも7人かな。みんなものすごく必死にアピールしてくれた。もちろん、技術的なこと、経験値的なことでまた二軍にいってしまう選手もいるだろうけど、これから先のドラゴンズを支えてくれるように成長してくれる選手が出てきてくれればいいなぁって思っているよ。
※「俺の職場に天才はいらない!」は週刊SPA!にて好評連載中
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