スポーツ

プロ選手にとって「食」は大事な仕事である【中日・谷繁兼任監督】

週刊SPA!連載<俺の職場に天才はいらない!> 谷繁元信選手兼任監督の管理職的独り言 ◆体が資本のプロ選手にとって「食」は大事な仕事である
谷繁元信

監督にどのくらい食べますか?と聞くと「食べるときは、焼き肉食べて、お好み焼き食って、シメにラーメンとか(笑)」とのこと

 7/22の横浜戦でプロ1年目から続いているホームラン記録を26年に延ばすことができた。昨年、25年連続本塁打を打った時点で野村克也さんの日本記録に並んだことは知ってたから、日本新記録は嬉しかったね。なんでも一番は気分いいもんです。  さて、夏本番のこの時期は暑さで食欲が落ちて夏バテ気味な人も多いのでは? プロ野球選手にとっても、夏場は体調管理がモノをいう季節だ。ペナントレースが佳境を迎えるこの時期に活躍できるのは、スター選手の証し。誰もがへばる夏は、心身共にタフな選手のみが活躍できる時期なんだ。  オレの体調管理法は毎日きちんと食べること。体が資本のプロスポーツ選手にとって、食べることは仕事の一つ。食べて体力とスタミナをつけなきゃダメだ。とはいえオレは栄養士のアドバイスを基に食事を管理されるのは苦手なタイプ。プロ26年間のキャリアで日々の食事にこれといった工夫をしたことがない。唯一、36歳の頃かな、開幕から半年間、揚げ物類を口にしなかった時期があるくらい。オレのスタンスは好きな食べ物をしっかり食べることなんだ。オレはこの食事法を26年間、貫き通している。  元々、生ものはそれほど好きじゃないけど、シーズン中は遠征先でも鮨などはなるべく食べないようにしている。各地の名店や、名物の大将が握る鮨は最高にうまいけど“万が一”があったらチームに迷惑をかけちゃうからね。だからシーズン中の唯一のこだわりはウニや光りものなど、生ものを遠慮するくらいかな。  小さい頃から好き嫌いはなかったから、食事はなんでもおいしくいただいているよ。中でもハンバーグや焼き肉は、今も大好き。40も近くなると肉より魚、とかいう話を聞くけど、オレの場合は俄然、肉。うまいモノを食べると、人間、心が元気なくても、体が元気になるでしょ。だからこそ、オレは好きなモノをたくさん食べるように心がけているんだ。  食事にまつわるエピソードといえば、昔こんなことがあった。’09年のCS(プレーオフ)で、ヤクルトの石川に手も足も出ずに初戦を2-3で落としたことがあった。おまけにオレはスクイズ失敗に三振と、少ないチャンスを潰してしまい、あの試合はオレのせいで負けたようなものだった。  3位ヤクルトに、ホームの名古屋で先勝を許したあの負けは尾を引いた。だって次の日負けたらシーズン2位の苦労が終わりだよ。部屋にこもって誰とも会いたくないくらい落ち込んだよ。ところがその日はたまたま以前からお気に入りの食事処に予約を入れていたんだ。  全く気乗りしなかったんだが店に着き食事の卓に座り、ひとたびご馳走を口にしてビックリしたんだ。あんなに落ち込んでたのにうまい!って感じたんだよ。そしたら、あれだけ落ち込んでいた気持ちが徐々に晴れていったんだ。好物のメニューを食べているうちに悩みは吹き飛んで、そればかりか翌日のCS第2戦ではホームランを打って勝利に貢献できた。あの日の食事で、オレは痛感したね。心が元気じゃないときは、大好物を食べれば体から元気が湧いてくるってことを。  自分を元気にする活力メシは、カレーだってラーメンだって、何だって構わない。病は気から、とはよく言うけど、栄養素とかバランスなんて関係ない。落ち込んだときこそ、自分の好物を食べてまずは心を元気にしてほしいな。おいしい食事をしていれば、やがて気持ちも晴れやかになってくるから。  健康法といえば、あとは寝ること。食べたらしっかり眠ること。オレは自宅でも遠征先でも、部屋は真っ暗にして寝るタイプ。体がしんどくても好物を食べて、しっかり睡眠をとれば、きっとオレのように丈夫な体ができると思うよ(笑)。
谷繁元信

谷繁元信

<今週の谷繁論> おいしい食事は心を満たす落ち込んだらまずはうまいもんを食ってみる! ※週刊SPA!8/19発売号の連載コラムでは「目標設定」について語っている 【谷繁元信】 ’70年、広島県生まれ。昨秋、日本プロ野球界では7年ぶりの選手兼任監督としてドラゴンズの監督に就任。野村克也氏が持つ出場試合記録更新の期待もかかる 撮影/Toshitaka Horiba 渡辺秀之 構成/小島克典
週刊SPA!8/26号(8/19発売)

表紙の人/熊田曜子

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