雑学

物件選びは、大手管理会社が安心…は間違い!? 賃貸の退去予告は何カ月前が適正か

賃貸物件、退去予告は何カ月前が適正?…大手管理会社の落とし穴 引っ越しシーズンも落ち着き、新居での新しい生活を始めた方も多いだろう。だが、ようやくコレだ!という物件を探し当てたのに浮かない顔をしているのは、精密機器メーカーに勤める山本浩さん(仮名・39歳)だ。

「2年以上物件を探していて、ようやくコレだ!という物件を見つけたのは今年の2月。即申し込みをしたのですが、解約しようと管理会社に電話すると退去予告は2か月前だというんです。契約書をよく読むと、やはり2か月。でも、そんな2か月前に物件決めて……なんて無理じゃないですか。とは言え、こちらが契約書をよく読んでなかったのがそもそも悪いと言えばそれまでですが、2か月前はどうなのかと」

 山本さんの管理会社はSという大手のマンション管理会社だ。何度も管理会社と話したが結局埒はあかなかったという。

「先方は契約書に書いてあるの一点張り。こちらは『じゃあ、あんたんとこが管理している物件は見つけてから2か月後に入居でもいいのか?』って聞いても『そういう物件もあると思います』など要領を得ない。話し合ってる最中に担当の女性はいきなり泣き始めるし、最後は話し合いにすらなりませんでした」

 その後、山本さんは藁にもすがる思いで消費者生活センターに電話をすることに。

「消費者生活センターから言われたのは一般的には退去予告は1か月前とされているケースが多い。3か月前予告が認められることもあるがそれは特殊なケースで、賃料が安かったり物件の使用状況による。基本的に3か月前予告は社会通念を逸脱しているとみなされる。僕のケースは賃料とペットを飼育していたことなどを加味すると、社会通念上ギリギリ認められるだろうとのことでした。実際に同様のケースで裁判になったこともあるそうですが、そのときも家主が勝ったと聞きました」

 結局、ガランとなった空き室に1か月分の家賃を払った山本さんだが、今でも腑に落ちない顔である。

「消費者生活センターの方からは『このS社はわかっていて、この金額でこの請求を行っている確信犯』とも言われました。大手の管理会社だからと安心して借りたのですが、大手だからこそ融通が利かないってことなんでしょうかね」

 こうしたケースはよくあることなのだろうか。どこにでもあるような、街の不動産業者に話を聞いた。

「山本さんの賃料は15万円(別途共益費4000円)、ペットで子犬を飼われていた。さらに契約では敷金2か月分のうち、1か月はペットを飼っていたことを理由に自動償却し、5万円のクリーニング代を残りの1か月分から引くということになっています。消費者生活センターの判断は妥当とのことですが、僕らのような街の不動産業者からすれば“悪どい”部類に入りますね。確信犯と言ってたとのことですが、絶対に確信犯でしょう。中小の管理会社はこうした敷金返還で揉めて裁判になるのを嫌いますが、大手は顧問弁護士がいるので裁判やるならハイ、どうぞ!ですからね」

 一般的には退去予告は1か月前と言われるがその点はどうなのだろうか?

「確かにマンションなどの居住用物件で2か月前はあまり聞かないですね。商業物件だと半年前というのもありますけど。以前あったのが商業物件をメインで扱っている業者が個人向けの居住型物件を扱った際に契約書に半年前予告を記載してしまい、契約者も仲介業者も契約当日にビックリしたなんてこともありますね。まぁ、常識というか一般的にはやっぱり退去予告は一か月前が普通でしょう」

◆管理会社は大手が安心……は間違い!?

 大手ゆえに融通が利かないということはあるのだろうか。

賃貸物件、退去予告は何カ月前が適正?…大手管理会社の落とし穴「大手の管理会社の大半は不動産のデベロッパーです。彼らからすると、入居者はお客であって、お客でない。お客さんは物件を持っている地主であり大家です。管理費は大家からもらうので、別に入居者がゼロでも痛くも痒くもない(※契約によってはもちろん痛いこともある)」

 同じように大手管理会社の物件に住む30代の女性会社員にも話を聞いた。

「昔から犬を飼いたくて、ペット可物件を探して借りました。管理会社は都内でも大手の会社だったのです。下の階で犬を飼ってる方がベランダで遊ばせてキャンキャンうるさくて、ウチの犬が怖がっておかしくなっちゃったんです。管理会社に電話して抗議したのですが『ペット可物件なので、犬やネコの鳴き声は想定の範囲内じゃないでしょうか?』って。想定の範囲じゃないマナー違反だと思うんですが……。ほかにも修繕などの対応がすっごく遅いし、入居者なんて客と思ってない感をひしひし感じました」

 この女性、入居したときに壊れていたポストの修繕をお願いしたところ、とんでもない対応をされたという。

「入居してすぐにポストのドアが壊れていたので修繕をお願いしたら、いつから壊れていたのか? 本当に入居前からなのか?ってすっごくしつこかった。もう、あたしが犯人みたいな口調で『じゃあ、壊れたとこ見てください。今すぐ壊れたってもんじゃないってわかりますよ』って言ったら、渋々『今回は当社負担で修理します』って」

 ちなみにこの女性、退去予告は2か月前ではなかったものの2か月分払った敷金はほぼ全額戻ってこないような付帯条項が授けられていた。

 大手だから安心……というわけには、どうにもいかないことはあるようだ。物件選びの際は、管理会社や契約、退去に至るまで隅々までチェックする必要がある。先述の山本さんのように「高い授業料」にならないよう、注意してほしい。

取材・文/マンション問題追及班




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