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「大阪都構想で何が変わるのか?」住民投票前に基本をおさらい

「大阪都構想」の是非を問う住民投票がいよいよ17日に迫っている。都構想は改革なのか、破壊なのか。「正直、よくわからない」という人が大半だろう。

道頓堀 産経新聞が5月9、10日に実施した世論調査では、賛成が39.5%なのに対し、反対が47.8%とやや優勢だ。だが、そもそも「大阪都構想」で何が変わるのか? メリット・デメリットは? 基本的な論点をわかりやすく整理しておこう。

◆二重行政を解消し、大阪は豊かになる?

「大阪都構想」の最大の目的は、大阪府と大阪市の役割分担を見直し、二重行政による財源のムダ遣いをなくすことである。

 政令指定都市である大阪市の人口は約269万人(2015年4月1日現在)で、大阪府と変わらないほどの大きな影響力を持っている。だからこそ、これまで府と市で意見が合わなかったり、張り合ったりして同様の公共事業に別々で手を出すことが繰り返されてきた。

 例えば「府立体育館」と「市立中央体育館」といった具合に、大学、浄水場、病院など類似の施設にそれぞれ税金が投入されてきた。結果、1人当たりの大阪市民の借金は、東京23区民の約13倍にも膨れ上がっている。

⇒【資料】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=853196

東京23区民と大阪市民の1人当たりの地方債残高

「大阪維新の会」公式サイトより

 そこで、現在の24の「行政区」を統合し、5つの「特別区」に分割することで、広域にまたがる道路の整備などは府が担当し、子育てや介護など住民へのきめ細かいサービスは特別区が、というように明確に役割分担しようというのだ。これにより互いに手を出していた領域をなくしムダを減らすというわけだ。

 そのため、都構想が実現しても行政サービスにほとんど変化はない。現在の府と市の役割が変わるだけで、住民が受けるサービスには変わりがないからだ。

●住民投票の対象者は「大阪市民」だけ

「大阪都構想」は大阪府全体、ひいては関西や西日本の将来にも関わる重大な問題である。ただし、今回の住民投票で対象となるのは「大阪市民」だけだ。

 投票用紙には「賛成」か「反対」かのみを記入する。賛成票が多ければ、2017年4月に大阪市は廃止され、上記の計画が進められていく。なお、名称は「大阪都」に変更されるのではなく「大阪府」のままのようだ。

◆「大阪都構想」への懸念は?

 もちろん都構想には反対派の意見もある。いくつか紹介しておこう。

 ひとつは「二重行政は今の仕組みのままでも、知事と市長が話し合えば解消できる」という声だ。だが、それが今まで実現できなかったからこそ「大阪都構想」なるものの是非が問われる局面に差し掛かっているのではないだろうか。

 続いて「豊かな区とそうでない区で住みやすさに格差が生じるのでは?」という懸念だ。「大阪都構想」のモデルである東京都は税収が多く、集まった税金を各区に配分して格差が出ないようにする仕組みがあるが、現在の大阪は、税金だけでは足りず国から借金している状況だ。

 また、すでに特別区である東京23区のなかには「特別区は制度疲労を起こしている」という議論もある。「特別区」に大きな権限がなく、市への格上げを希望したり、権限の拡充を求めたりしている区があるという事実を見過ごすわけにはいかないだろう。

 いずれにせよ、かつてほどの存在感や活力が大阪からなくなっているのは紛れもない事実である。大阪再生のために、思い切った改革が必要なのか、現状維持でも漸進はできるのか、そこが今問われている。 <取材・文/北村篤裕>

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