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エリート同士の格差バトルはかくも熾烈だった!

エリート大企業のトップの年収がおよそ3000万円といわれる日本において、サラリーマンで若くして数千万円の年収を稼ぐ……といえば、外資系企業に勤める以外に道はなかった。しかし周知のとおり、サブプライム問題、リーマンショックを経て今なお光明の見えない世界不況のさなかにおいて、リストラされるエリートが続出した。

「大手の外資系企業でリストラが横行したのが3、4年前。外資系といえば、日系企業に比べて競争が激しく、成績が上がらなければ即リストラというイメージが強いでしょうが、それまでは意外にユルくて、いわゆる凡庸な人間がマネージャーを続けてたりなんてことが平気であった。当然、報酬は歩合の要素が強いですから、凡愚のコンサルの年収なんて600万くらい。それらが一掃されたのはある意味、気分がいいですよ」

のっけから鼻持ちならない口調で吐き捨てるのは、外資系コンサル会社を経て、5年前に独立。個人コンサルとして事業を拡大し、年収5000万円を稼ぐA氏(35歳)。リストラされた同期のほとんどが独立したというが「成功したのは1割に満たない」と嗤う。

クライアントを探すのすら難しい時代。5年前は、大手企業とパートナー契約を結んで月250万円なんてザラでしたが、今はせいぜい150万円程度。それでも直接契約できればいいほうで、多くのビジネスパーソンは元の会社からアウトソーシングされた下請け仕事を細々と続けているに過ぎません。ま、研修屋になるよりはマシですかね(笑)」

ちょっと他業種の読者にはニュアンスがわかりづらいと思うので整理しよう。一概に個人コンサルタントといっても、仕事内容によってハッキリと格差が存在する(報酬額はA氏の推算)。

●S 大企業と直接契約 月150万円
●A 中小企業と直接契約 月100万円
●B S・Aの下請け(メインの事業企画・経営戦略には携われない) 月10万~30万円
●C 研修屋(契約ではなく、1回限りの社員・新人研修などを催す) 一回5~10万円

ランク分けされてみれば納得といえるが、その差はどこで生まれるのか? 営業力や人脈がモノをいうのか? その問いに「いえ、完全に実力の差です」としたり顔で語るのは同じく外資系コンサル会社社員、個人コンサルを経ると同時に、現在、米国の某名門大学で「企業コンプライアンスと人事・経営戦略の統合・構築」という、舌を噛みそうな名前の社会人向け講義を務めているB氏(38歳・年収4500万円)。

「最近はそうでもないのでしょうが、“新卒で外資系企業に入社する”ってこと自体がブランド化されていた時代があったんですよ。ちょうど98年~02年の就職氷河期あたりに入社した連中はその意識が強いです。ただ、そこから明暗が分かれます。つまり、仕事の理解と向き合い方ですね。多くのビジネスパーソンは『頑張ってれば評価される』と誤解しているのですが、私にしてみれば投資対効果の低い努力でね(笑)。この業界で大成するには“優秀な頑張り屋”なだけじゃ見向きもされません。自分だけが持っている経営理論、ロジックをいかにパートナーの利益にできるか……それだけです。MBOを取っても、結局やってることは『ムダを省きましょう』じゃ今どき需要はないでしょう。オリジナリティがないんだから(笑)」

聞けば2人とも数年前までは勉強会やら飲み会で交流を深めていたというが、「差がハッキリしてからは誘っても来なくなりました」とか。年収700万円を「負け組」と嗤い、「まだまだ上を目指す」と鼻息は荒い。名門中学、高校、大学を経て一流企業へと進んだエリートの競争意識は死ぬまで消えることはないのであろうか……。折からの不況で、そんな彼らの実像が露呈したような気がする。

取材・文/スギナミ




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