“埼玉の秘境”は知られざる東京五輪穴場競技の聖地だった!
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第12回~
フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営している スポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。
穴場を探して穴から穴へ。今回も東京五輪でチケットが買えそうな穴場競技探訪へと出かけてまいります。今回確かめに行く穴はホッケーです。もちろん東京五輪での現地観戦へ向けた穴場探しですので、アイスホッケーではなくフィールドホッケーのほうです。
「明日、ホッケー見るんですよ」と会社の同僚のオジサンに話したとき、「へー、夏なのにやってるんだ?」などとアイスホッケーのことだとカンチガイされたまま会話がつづいたものですから、行く前から「穴場」としての期待感はムクムク高まりました。
今回向かったのは埼玉県飯能市。こちらにある駿河台大学ホッケー場で、高円宮牌・女子ホッケー日本リーグの公式戦が行なわれるというのです。この大会、その名の通り日本一の女子チームを決めるもので、出場選手にも日本代表がゴロゴロしている国内最高峰の戦いとなります。
早速の朗報ですが、リーグ戦の試合会場は大阪・広島・埼玉・岐阜・宮城・栃木・奈良ということで東京は含まれておりません。そして、埼玉会場が一番近いのですが、埼玉にくるのは1年間のリーグ戦で2日間しかございません。「東京都民にはホッケーを見せてあげない」というハブられ感。「一年のうちで一番近い会場を選んだら飯能だった」という圧倒的距離感。穴っぽくて素敵です。
駅前なのに圧倒的大自然が待ち受ける町・飯能。
駅前なのに道路端に森林が広がる町・飯能。
この連載、まだ5つの競技しか紹介していないのに、3回も埼玉に行ってます。できるだけ近いところに行こうと思って、近くにくるまで待っているのですが、穴場競技はなっかなか東京までのぼってきませんね。飯能って、西武池袋線の終点ですよね。山奥でクソ遠いと言われる西武プリンスドームよりもさらに先じゃないですか。穴っていうより山って感じです。
当日は、快晴を通り越して猛暑。打ちつける日差しが肌をジリジリと焼きます。最寄駅から1.6キロ、歩いて20分ほどのホッケー場を目指して進む物見遊山一行は、歩き始めてすぐ気づきます。全然最寄じゃないな、と。あと一駅欲しいな、と。2020年東京五輪では大井ふ頭中央公園にホッケー場を新設する予定となっていますが、その計画が予算の問題で白紙撤回された場合、ホッケーは飯能でやることになったりするのでしょうか。来るのが面倒なので、何とか新しいホッケー場を作ってあげてほしいものです。
おっ、ホッケー場への看板発見!
「ホッケーのまち飯能」ですって!
まさか町ぐるみでホッケーを推しているとは。市民向けの運動場の一角で、立派なホッケー場が僕らを待ち受けていました。人工芝の緑が鮮やかなフィールド。ホッケー場横には売店も併設され、そこではホッケーボールクッキーとかいうホッケーの町ならではのお土産も売られています。思いがけないやる気です。飯能、むっちゃホッケーにやる気です。ホッケーという大穴に町の興亡を懸けてる感じがジワジワ伝わってきます。
さらに驚いたのが、このホッケー場で地域の子どもたちがホッケーの練習をしていたこと。「ホッケーをする子ども」というのを、僕は生まれて初めて見ました。厳しい指導を受け、ボールをドリブルしたり、シュートしたりする姿を見せられては「キミ、サッカーとか野球とかじゃなくていいのかい?」などと聞く気にはなれません。まったく予想していなかった感じで、この町はホッケーに燃えていたのです。
コート脇に立つホッケーの像。
ホッケーボールクッキーとかいう名物。
いざ買ってみたら全然キャラ違うな……どっちかに決めてから作れよ……。
まだ誰もいない会場に入り、無人のスタンドに腰を下ろします。試合開始の12時まで1時間ほどありますが、さすが穴場競技です、観客はひとりもいません。30分前になっても誰もきません。15分前になっても誰もきません。「来場者10人くらいかな?」と思っていたこともあって、途中までは疑問を持ちませんでしたが、5分前になっても誰もこないというのはさすがに異常事態です。ていうか、選手もきてません。
無人のスタンド。
って、よく見たら…ここは「飯能市阿須ホッケー場」だと!?
クッキーとか食べてノンビリしてる場合じゃありませんでした。どうやらこの町、ホッケー場が複数あるみたいです。「ホッケー場が2つも3つもあるわけない」と舐めていたコッチも悪いですが、2つも3つもホッケー場を作る町にも問題がある。紛らわしいじゃないか。慌てて表に飛び出すと、遠くの山の上に「駿河台大学ホッケー場」の看板が。新国立競技場には陸上のサブトラックがないっていうのに、飯能市にはホッケー場が2つもあるのか。恐るべし、ホッケーの町!
えぇぇぇ、あの山をのぼらなアカンのか。
※次回『カワイイ女子が見たい人にはかなりアツい「フィールドホッケー」』に続く
『自由すぎるオリンピック観戦術』 スポーツイベントがあるごとに、世間をアッと言わせるコラムを書き続ける、スポーツ観戦ブログ『フモフモコラム』の中のひとによるオリンピック観戦本 |
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