更新日:2017年11月14日 22:46

ベストポジションから感じる青春の輝きと釣り人への殺気

~フモフモ編集長の今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第9回~ ⇒前回はこちら  徒歩で頑張って戻ったゴール付近。ベストな観戦ポジションには、屋根のついたベンチがありました。最初からココで観るのがオススメだったようです。僕もウォーキングモードから観戦モードに移行し、行きかうボートを眺めます。眩しい日差しの中で観るボートは水面のキラキラと合わさって、とても美しいものです。選手たちの焼けた肌も汗で光っています。「青春だなぁ」などと思ったりします。  ボート競技には実業団チームもありますが、大学の漕艇部の存在感が非常に大きいようで、岸辺には学生服の応援団やチアガールの姿も。よく見たら岸辺にいる大学の漕艇部員と思しき若い子たちは、非常に女子率が高い。しかも、その女子たちは寝間着みたいなゆるゆるのジャージでうろちょろしている。すごい青春感。あちらこちらで恋でも生まれそうな雰囲気です。  よくよく周囲を見渡すと、何とこの池を取り囲むように、実業団や大学の漕艇部の合宿所が建っているではありませんか。なるほど、毎度ボートを持って池までくるのはバカバカしいので、池の横に合宿所を立てて、そこにボートを置いておくわけですね。うん、合理的です。  東大、京大、一橋。名門大学がズラリ揃った宿舎群では、ベランダに洗濯物が干され、宿舎脇には飲み干したあとのビンや缶がケースで積まれています。ここで男子と女子がひとつ屋根の下で練習に明け暮れているというわけですか。女子たちはゆるゆるなジャージで起きてきて、日焼けの跡を男子たちに見せつけているというわけですか。そして、仲良く手漕ぎボートに乗るわけですか。何だかボートを観ているというより、青春を見せつけられている感じになってきました。  テニスサークルよりボートサークルのほうが、恋が生まれそうな気がしてきた。合宿所に泊まりがけだし、手漕ぎボートだし。  ボートの生みだす青春空間に飲まれるうちに、だんだん競技での勝ち負けなどはどうでもよくなってきます。結局、ベストな観戦ポジションで観ても、そこから逆転が生まれたりとか、すごいもつれたりするわけでもなく、ボートがまっすぐ進んでいくばかり。ボートを互いにぶつけたり、オールで殴り合ったりすることもなく、どのボートも自分たちとの戦いをつづけています。そういう懸命な姿を観ていると、先頭を進むボートだけでなく、むしろ遅れてついてくるボートに対して「頑張れ」という気持ちがわいてきます。  ボートには青春がある。絵に描いたような「頑張る姿」がある。それを見守ることで、こっちまで心が若くなる気がします。五輪という機会に限らず、公園のボート乗り場にでも行く気持ちで観戦してもいいかもしれません。ルールは「先にゴールしたら勝ち」と極めてわかりやすく、コースも見通し最高の一直線です。観る位置取りさえ気をつければ、一回目から楽しく観戦できる競技です。岸辺の広さ=チケットの多さも考え合わせると、東京五輪で「何でもいいから生で見たい」人にピッタリの競技でしょう。ちょっと多すぎるんじゃないかと思った船競技ですが、意外に悪くないものですね。  進むボートと並走する自転車。そして応援団。この競技には、青春の輝きがある。  余談ですが、この池にはブラックバスなどがウヨウヨ泳いでおり、ちょっと釣りでもしたくなるような感じでした。しかし、残念ながら釣りは不可とのこと。それでも、不可と言っても釣りをする輩でもいるのでしょうか。釣り人を拒み、絶対に釣りを許さないという圧力が池全体から発散されており……  魚釣りは禁止です。  釣りは禁止ですので、当然釣人はお断りです。  競艇場内も当然釣り禁止です。  わかりやすいように絵にしてみました。  言い忘れましたが、投網ももちろん禁止です!  釣り及び投網は絶対にお止めくださぁい!
自由すぎるオリンピック観戦術

スポーツイベントがあるごとに、世間をアッと言わせるコラムを書き続ける、スポーツ観戦ブログ『フモフモコラム』の中のひとによるオリンピック観戦本

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