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健太と死神、珍コンビのブラックバイト体験――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。 連続投資小説『おかねのかみさま』 今週もタメになることはひとつもありません。 ※⇒前回「どうもならないです」 大川弘一「おかねのかみさま」〈第11回 仁上さん〉 「俺、なんか間違ってたかな。自分の命削って、お金にして、ギャンブルして、負けて、株やって、株も負けて、これ以上命削ったらいつ死んじゃうかわかんないし、こんなことになったら誰だってみんなもうマジメに働こうと思うに決まってるじゃん。ねぇ、死神さん。俺、間違ってるのかな」 「ワカンナイ」 「モヤシついてるよ」 「アリガト」 「どうしたらいいんだろう。俺、マジメに働けばいいのかな」 「テツダウ」 「え?」 「バイトスル」 「!!!なんでよ!死神さん!死神さんなんか雇ってくれるとこないよ!」 「シクシク」 「あ、ごめん、その、そういう意味じゃなくて、ほら、お店とかだと、ほら、俺は慣れてるからいいけど、たぶんその、みんな、ビックリするとおもうんだよね、ハロウィンじゃないし」 「ダイジョブ。ヒトデブソク」 「そりゃそうだけどさぁ。人手不足になってるのって、結構たいへんなバイトばっかりだよー引っ越しとか、居酒屋とか、ブラック企業だってたくあんあるんだし」 「ヤル」 「やるの?」 「ヤル」 「…」 「イッショニヤル」 「一緒に!?」 ※   ※   ※ 「ヤル」 「そんなこと言っても…」 「ヘタレ」 「えっ?」 「ナンデモナイ」 「…」 「…」 「わかったよ。なんか探してみる。居酒屋で、俺が接客で死神さんが裏方に回ればなんとかなるんじゃないかな。面接いってみようか」 「ハーイ!」 ---- 居酒屋 リグレット ---- 「こんにちわー」 「コンニチワー」 「いらっしゃいませ!」 「あ、バイトの面接に来たんですが…」 「あー、はい。じゃ、奥の部屋きてくれる?」 「はい」 「カンジワルイ」 「しー!」 「ふたり?」 「はい!」 「なんか、変わった感じの友達だね」 「はい!いえ、あの、友達っていうか、近所の人で」 「モジモジ」 「ま、いっか。じゃ、履歴書見せてくれるかな」 「はい」 「ハイ」 「…」 「あのー」 「ん?」 「ここって、皿洗いとか、お客さんと接しないようなお仕事ってありますかねこのひと、ちょっと恥ずかしがり屋なところがあって、あんまり表に立つ仕事はしたくないって言ってるんです」 「あー、うーん。食器洗浄機あるから皿洗いはないけど、料理覚えてくれたら料理担当で中でお願いすることになるけど、どう?」 「ヤリマス」 「やるの!!!?」 「ま、簡単だから。全部用意されてるものをそのまま出すだけ。すぐできるよ」 「よ、よかったね…」 「ウン!!」 「じゃあさっそく、端末の使い方だけ覚えてくれたら、今日から働いてもらえるけど、ちょっとやってみる?」 「やります!」 「ヤリマス!」 「じゃあ健太くんはフロアで、居酒屋来たことあるだろうからだいたいわかるよね。ニガミさんはさっそく料理覚えてください」 「ニガミさん?」 「ミョウジ」 「あ、うんそうだったね。はい」 「じゃ、これよろしく。今日は金曜だからちょっと忙しいとおもうけど好きなだけ働いてって」 「ありがとうございます!」 14時間後 「シニタイ」 「うん」 「ヤキトリヤキトリヤキトリダシマキチューハイチューハイチューハイカラアゲポテトチューハイチューハイチューハイ」 「うん」 「ツライ」 「うん」 「…」 「死神さん、元気だしなよ」 「シクシク」 「慣れてきたら、きっともっと楽だよ。今日はたまたま初日だったからあんな感じだったけど、慣れちゃえばさ、きっと何も考えずに働いて、いつのまにか一日終わってるから大丈夫だよ」 「ソレガイヤナノ…」 「…」 「ダッテ…ソレジャ…」 「なに?」 「ナンノタメニイキテルノ?」 「!!!そりゃ!食べていくためだよ!死神さんだってもう家族みたいに住みこんでるし!最近ちょっと距離も近いし!だんだん食べる量が増えて来てる感じもあるから、なんとかしなくちゃって思うじゃん!だって!俺が働かなくなったらふたりとも死んじゃうんだよ!」 「デモ…」 「でもじゃないの!俺は投資に向いてないんだから!もうマジメに働くしか道が残ってないんだよ!大学出て就職するまでは、長い時間ガマンして働いてその分のお金をもらうしかないんだよ!」 「デモ…」 「なんだよ!」 「カミサマユッテタ…」 「え?」 「オカネノカミサマユッテタ」 「な、なんて?」 「ケンタ、オカネノカミサマニナルッテ」 「え?」 次回へつづく 【大川弘一(おおかわ・こういち)】 1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。 Twitterアカウント https://twitter.com/daiokawa 2011年創刊メルマガ《頻繁》 http://www.mag2.com/m/0001289496.html 「大井戸塾」 http://hilltop.academy/ 井戸実氏とともに運営している起業塾 〈イラスト/松原ひろみ〉
逆境エブリデイ

総移動距離96,000キロメートル! 大川弘一がフルスピードで駆け抜けた400日間全記録

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