健太くんの初投資、結果やいかに?――連続投資小説「おかねのかみさま」
さむくなりましたね。
連続投資小説『おかねのかみさま』です。
今回はタメになることはひとつもありません。
※⇒前回「ウェーイ」

〈第9回 わかりました〉
神「そうなんです。100万人が100万円のローンを組んででも欲しくなるものや、1000万人が10万円払ってでも欲しくなるものを作るのが日本企業の勝ちパターンだったんですが、画面の中で『欲しいエネルギー』を解消されちゃうと、わざわざお金払わなくなっちゃいますからね。ということでこれがひとつめの側面でした」
健「ありがとうございます。よーくわかりました。じゃあ、スマホゲームの会社の株買えばいいんですかね」
神「あれ?」
健「はい?」
神「2つめ気にならないの?」
健「はい。もういっぱいいっぱいなので」
死「ンモー」
神「まぁいいでしょう。そのうちまた知りたくなったら教えます」
健「はい!じゃあ、どの株買うか、死神さんと相談してみます!」
神「え、あ、うん。わかりました。慎重にね」
健「はい!!!」
神「じゃあ今日は帰りまーす」
健「ありがとうございましたっ!!!…よーし、すごい株みつけるぞー。ゲームだ。これからはスマホだ。お!いきなり!この株4400円!100株買える!死神さん、どうかな!」
死「カイ」
健「よし!買い!あとは上がるのを待つだけだ!」
死「ウェーイ」
※ ※ ※ ※
——–
3日後
——–
神「ピンポーン♪」
健「………」
神「あれ、いないのかな。ピンポーン♪」
健「………………」
神「おかしいな。ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン♪」
ガチャ
死「…ハイ」
神「あ、死神さん、ケンタくんは?」
死「…ブックオフ…」
神「ぶっくおふ?なにしに?」
死「…マンガ…ウリニ…」
神「あーそうなんだ。じゃあ中で待たせてもらいますね。お邪魔四万十川」
死「…」
神「ところで死神さん、ケンタくん、株はどうなったかな?」
死「…」
神「黙ってちゃわかんないってよく言うけど、死神さんが黙ってると本当によく伝わりますね。買った株が下がって損しちゃいましたか?」
死「…メソメソ」
神「あー、もう、なかないの。死神さん悪くない。決めるのはケンタくんなんだし、だいじょぶ。よくあること」
死「デモ…」
神「なんですか?」
死「オカズヘッタ…」
神「!!!」
死「…シクシク」
神「それはいけませんね。食べることは人生の基本です。私が何か作ってあげますから、ちょっとまっててください」
死「ホント?」
神「はい。えーと、冷蔵庫これですね。あー。モヤシとタマゴとシーチキン。まぁいいでしょう。なんとかやってみます」
死「オネガイシマス」
神「まずこのシーチキンのサラダオイルをある程度切って、ここに塩とコショウを混ぜ込みます。中華スープの素とかがあれば入れてもいいんですけど、ないね。まぁいいか。で、ゴマ油ありますかね。おーあった。熱したフライパンにゴマ油でクルっと円を描きまして、この上で水洗いしたモヤシを炒めましょうにんにくチューブありますかね。おー、ある。ある程度炒めたモヤシの上にちょピットだけにんにくを出しまして、火を弱めてもう少しだけ炒めます」
死「イイニオイ」
神「でしょう。それから最後に火を止めて、ほんの少量だけの醤油をモヤシにたらして、軽く混ぜあわせたらお皿に盛り付けます」
死「ハイ」
神「でですね、こっからが大事なんですが、準備していたシーチキンをこのモヤシの上にドサッと乗せるわけです。そしてそれをしつつ、空いたフライパンで大急ぎで小さなオムレツをつくります」
死「オー」
神「タマゴを溶いて、バター、まぁマーガリンでもいいか、これでかき混ぜて、なんとなくおいしそうになるまで1分ちょっと。あまり固まらないあたりで火を止めて、先ほどのモヤシの上のシーチキンにお布団をかぶせる具合にのせちゃいます」
死「ゴクリ」
神「で、タマゴの上の部分をこうやって包丁で切れ目を入れると、ヌハァとタマゴが広がる寸法です」
死「オー!!!」
神「で、最後にほんとは亜麻仁油があるといいんですけど、マヨネーズと醤油をタマゴの上からかけまして、ワシャワシャとモヤシと混ぜながら食べてみてください」
死「イタダキマース!!!!」
健「ただいまー。あ、かみさま。いらっしゃい」
神「おかえりケンタくん」
死「オーーーーイシーーーーーイ!!!!」
神「ありがとう」
健「おー、それ、なんですか?」
神「特に名前はありませんが、いまあるもので一番よさそうなものを作りましたケンタくんもたべますか?」
健「いや…俺は…だいじょぶです」
神「損したんだって?」
健「はい…」
神「どれくらい?」
健「…かみさま、俺、もう投資とか向いてないと思うよ。たぶん、というか絶対俺みたいになにも知らない人間が儲かるようになんかできてないんだとおもう。だから俺、もうやめようと思います」
神「わかりました」
健「えっ?」
次回へつづく
【大川弘一(おおかわ・こういち)】
1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。
Twitterアカウント
https://twitter.com/daiokawa
2011年創刊メルマガ《頻繁》
http://www.mag2.com/m/0001289496.html
「大井戸塾」
http://hilltop.academy/
井戸実氏とともに運営している起業塾
〈イラスト/松原ひろみ〉

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