しつこいようですが、昨年世界的大問題となったVWの不正車は、日本には正規輸入されてません。しかし、日本でもVWのイメージはガタ落ち。世界でもっとも売れ行きが落ちたそうです(不正車は売ってないのに)。そんなVWが、今年ディーゼル車を日本で導入する模様。VW車のベストを狙う千載一遇のチャンス到来です
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
スキャンダル後だから狙い目!? VWのディーゼル導入が待ち遠しい理由
VWスキャンダル発覚直後の昨年10月、世界でもっともVW車の売れ行きが落ちたのは、前年同月比48%減の日本で、第2位は同46%減の韓国だったようだ。
ただし日本には、VWの不正ディーゼル車は1台も正規輸入されていない。対する韓国では、ガソリン車よりディーゼル車のほうが人気で、不正ディーゼル車が合計12万台も売られていた。
その後韓国では、販売巻き返しのため現地VWディーラーが大幅値引き策を展開。翌11月には売れ行きが66%も急増している。
日本のメディア的には、「VWが大打撃! 全世界で大幅販売減」と予定調和的に書きたかったろう。なんせ日本では、まったくカンケーないそこらのババアまでもが、「ワーゲンってひどいわよね!」と怒ってたくらいだから。
ところが実際は、VWの世界販売減は2~3%にとどまっている。じゃ、なぜ日本だけこんなに減ったのか? 正義感の強さゆえか、あるいは村八分の伝統でしょうか!?
確かに不正はあったわけですが、正直なところ、不正ディーゼル車の走りは最高だった(
現地レンタカーで確認済み)。個人レベルで見ればVW車は間違いなくいいクルマで、だからこそこれほど大規模な不正発覚にもかかわらず、グローバル販売台数はそんなに落ちていないのである。
つーことで、VWとその子会社のアウディの、比較的新しめのモデルを一気に乗って、どんぐらいいいクルマか、あらためて確認しました。
まずVWの新型パサート。本当なら昨年末、VW車として第一弾となるクリーンディーゼルが投入されていたはずのモデルだ。一見マジメそうなデザインだが、すんごく横幅が広く見えて威圧感もあり、カッコいい。実際横幅は1830ミリもあって日本ではちょっとデカ過ぎるが、走りはメッチャしなかやで乗り心地抜群。猛烈に癒される。
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今年のオススメはパサート・ディーゼルだ!【VW】Passat 329万円~ ※ディーゼル車の価格は不明
エンジンは今のところ1.4リッターのガソリンターボのみ。パワー的にはちょうどいいが、これに2リッターのクリーンディーゼル(今度はホントにクリーン)が載れば、かなり無敵のロングツアラーになろう。VW日本も「近いうちに必ず入れます!」とのこと。日本では村八分を恐れる風習ゆえ、しばらく売れないかもしれないが、性能は猛烈に期待できる。
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パサート待望の2リッターモデルは、もちろん不正があったエンジンよりも新しい世代のディーゼル・エンジンです。
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今1.4リッター・ガソリンターボ車をお安く手に入れるのもありですが、ディーゼル導入を待つのが吉!?
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このほか輸入車のMT車の選択肢が増えたのも朗報。14年前のド中古アルファ147のMTとは比べ物にならないぐらいシフトチェンジがスムーズで感動!
続いて久々にゴルフに試乗。発売当初に比べて乗り心地が劇的に向上し、実にいいクルマになっていた。あまりにも出来過ぎで満たされてしまうのが欠点か。
刺激が欲しいカーマニアには、ゴルフR、ゴルフGTI、ポロGTIに6速MT車がラインナップされている。今どき超珍しい輸入車のスポーツMT、どれも大変スバラシイ。特にポロGTIのじゃじゃ馬感には感動した。シビックタイプRが抽選で外れた人にオススメですね。
Golf GTI(MT)389万円~
アウディもVW同様、不正ディーゼル車を生産していたが、日本ではVWに注目が集中しているので、販売減は3割ほど。村八分度は比較的低い。まず新型TTSに試乗。相変わらずエリート感満点だが、見た目はあんまり変わり映えせず、走りもスポーツカーとして物足りない。これならゴルフRやポロGTIのほうが断然楽しい。これはいらん。
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エリート軍団は不正の影響も軽微!? AUDI TTSクーペ 768万円
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新型TTSクーペはカーナビなどの情報を運転席のメーター部分に表示。テレビもここに表示されるわけで助手席からはよく見えない。(走行中はTVは見られませんが)
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それに比べて、アウディ最安のA1 1.0TFSI(249万円)はステキだった。3気筒1000ccエンジンはクオーンと軽やかに回り、乗り味はほとんど高級車。ものすごく”わかってる感”が高い。ここまでの高級感は兄弟車のポロにはない。やっぱアウディって最安モデルでもエリート感が高いね!
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A1 249万円~
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オススメはA1の1.0リッター・ガソリンターボ車。高級モデルほどの押し付けエリート感がなく、素直に感動できます。
最後にS6に試乗。ウルトラ高いエリート臭はもはや嫌味レベル。超高精度な作り込みはさすがのスーパーエリートぶりだ。エンジンは4リッターV8ターボで450馬力を誇るが、あまりにもクルマが重く(約2トン)、そんなに速くありません。お値段も1300万円と大変お高くなってます。
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S6 1308万円~
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そしてS6。十分速いんですが、エンジンスペックからもっと速そうなのにと思ってしまうわけです
【結論】
VWもアウディも、まもなくクリーンディーゼルを日本に導入する。それを真っ先に買う人は超わかってる! なぜってVW車のベストはディーゼルだから。村八分が怖い人はVWよりアウディにしておくと若干安心かも
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『
そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『
首都高速の謎』『
高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中