石原壮一郎氏が振り返る[2011年・迷言ベスト3]
―[2011年迷言・珍言グランプリ]―
「やっぱり天罰だと思う」「流れでお願いします」など、2011年もいろんな人がいろんな場面でいろんな迷言・珍言を吐きました。そこで今回は、2011年に飛びだした数々の迷言・珍言のうち、ベスト3をコラムニスト・石原壮一郎氏に選出して頂いた。
◆オリンパスのデジカメは丈夫でも会社は丈夫じゃなかったですね
昨年も政治家の迷言は数々ありましたが、石原都知事の「天罰」発言はもう……。自身も含めた日本人への言葉なのでしょうが、現実的には自分は東京でのうのうとしていたわけですから。東北の人に対して、無神経極まりない発言です。そんな人を都知事にまた選んでしまう都民もどうなのか。勝新太郎も草葉の陰で「嫌な渡世(都政)だなぁ」と言っているのではないでしょうか。
大人げのなさでは、オリンパス前会長、副社長の「君が忙しかったから知らせなかった」もねえ。「だって○○君には言わなくていいって言ってたもん」という小学生レベル。オリンパスの防水で落としても大丈夫というデジカメ買ったんですけど、会社が大丈夫じゃなかったですね。
島田紳助の引退会見も、ヒーロー気取りで大人とは程遠い内容でしたね。本当は自分の行動が引退を招いたのに、何だかいろんなことの犠牲になって辞めていくカッコいいオレ、みたいな。「最後の介錯をしていただきまして、本当にありがとうございました」にしても、別に誰も介錯する気はない。どっちかというと切腹を遠巻きに見に来ただけだと思うのですが(笑)。芸能人の発言では、震災後に救援物資を人知れず現地に届けたことが世間にバレたときの江頭2:50さんのセリフ「オレじゃない! 別人だ!」はいいですね。この一件で好感度が上がったものの、それを生かし切れないまま、すでにこの話題が忘れ去られてるだろうところが江頭さんっぽくてよかった。
事件ネタで気になったのは、プロ野球の2軍選手を装った男が女性からお金を騙し取るために言った「ひじの手術のため米国に行く航空券代を貸してほしい」。この詐欺師は“野球選手の恋人として、彼のピンチを自分が支えてる”という夢を与えようとしたと思うんですよ。犯罪は犯罪だけど、“お金を出させた分の元は取らせてあげよう”という誠意は感じます。騙された女性としては冗談じゃないって話でしょうけど。
<石原氏が選ぶ迷言ベスト3>
1位:「やっぱり天罰だと思う」(石原慎太郎都知事)
2位:「最後の切腹の介錯をしていただきまして、本当にありがとうございました」(島田紳助)
3位:「君が忙しかったから知らせなかった」(オリンパス前会長・副社長)
【石原壮一郎氏】
’63年、三重県生まれ。コラムニスト、大人評論家。『オトナの怒り方』ほか著書多数。MSNエンタメにて「大人気ない発言大賞」連載
― 2011年[迷言・珍言グランプリ]【10】 ―
取材・文/石島律子 昌谷大介 新保信長
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