“1984体制”から10年後のWWE――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第147回
1994年はビンス・マクマホンとWWEによる“1984体制”の10年後である。『1984』とは、高度管理された情報化社会の恐怖を描いたジョージ・オーウェルの近未来SF小説のタイトルで、1984年からはじまったWWEの全米マーケット制圧プロジェクトをオーウェルの描いた近未来社会になぞらえてこう呼ばれた。
“1984”の10年後はどうなっていたかというと、かつて世界最高峰といわれアメリカのレスリング・ビジネスをモノポリー的に動かしていた“大NWA”は内部崩壊し、全米各地のNWA加盟テリトリーはことごとく活動休止、消滅していた。
NWA(ナショナル・レスリング・アライアンス)の実権を握ったかにみえたNWAクロケット・プロモーションも経営不振のため“テレビ王”テッド・ターナーに身売り。1988年11月、ジョージア州アトランタに新団体WCW(ワールド・チャンピオンシップ・レスリング)が誕生した。
北部のメジャー団体AWA(アメリカン・レスリング・アソシーエション=バーン・ガニア派)も1991年に倒産し、その30数年の歴史に終止符を打った。
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