ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード04=マクデビット弁護士の反撃――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第157回
※全20話のシリーズとして“ザ・ステロイド裁判”をお届け。この裁判はいまから22年まえの1994年7月、ニューヨーク州ユニオンデールの連邦裁判所で公判がおこなわれた刑事裁判である
ビンス・マクマホンとタイタン・スポーツ社(WWEの親会社=当時)の代理人、ジェリー・マクデビット弁護士とローラ・ブレベッティ弁護士によるジョージ・サホリアン医師への反対尋問がはじまった。
3年まえ(1991年年6月)のみずからの“ステロイド裁判”で有罪判決を受け、この時点では服役中の受刑者だったザホリアン医師は、検察サイドが描いた事件のシナリオを順序よく組み立てていくために用意された、いわば都合のいい証人だった。
マクデビット弁護士は、この裁判での証言と交換条件にザホリアン医師の刑務所内での待遇が改善された点を追求し、さらに1991年の裁判での偽証罪が1993年3月4日付でなぜか免責扱いになっている事実を指摘。ブレベッティ弁護士は、司法省によって接収されたザホリアン医師の自宅兼クリニックが競売にかけられたさい、8万ドルの落札額のうちの半分にあたる4万ドルがザホリアン医師の妻の手に渡ったことを指摘した。
マクデビット弁護士とブレベッティ弁護士の狙いは、ザホリアン医師が“検察サイドの操り人形”であるというイメージを陪審員に与えることだったが、ジェイコブ・ミシュラー裁判長の「本件と直接関係のない、あまり重要ではない情報はできるだけ省略するように」のひと言でこの問答にはストップがかかった。
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