ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード05=ホーガンとビンスは友人?――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第158回
※全20話のシリーズとして“ザ・ステロイド裁判”をお届け。この裁判はいまから22年まえの1994年7月、ニューヨーク州ユニオンデールの連邦裁判所で公判がおこなわれた刑事裁判である
FBI(米連邦捜査局)は指定薬物アナボリック・ステロイドの販売・流通とこの販売・流通をめぐる共同謀議の容疑でふたつの事件を立件し、検察当局はビンス・マクマホンとタイタン・スポーツ社(WWEの親会社=当時)を起訴。1994年4月の大陪審をへて、同年7月6日から3週間の日程で“ステロイド裁判”の公判がはじまった。
裁判で審理されるふたつの事件のうちのひとつめは1989年4月13日(以下“4・13事件”)、ふたつめは1989年10月24日(以下“10・24事件”)に発生した。どちらもジョージ・ザホリアン医師がフェデラル・エキスプレス社の宅配便をコネティカット州スタンフォードのタイタン・タワー(WWE本社ビル)に発送した日付けで、パッケージの中身はステロイドを含む薬剤だったとされる。
タイタン・タワーに届いたパッケージはビンスのオフィスでいったん開封され、それからまた梱包されてハルク・ホーガンの自宅に転送された。ビンスはステロイドの購入代金をタイタン・スポーツ社の小切手で支払っていた。ザホリアン医師とビンスのあいだでステロイドの販売と流通をめぐる共同謀議がおこなわれ、ステロイドがホーガンに販売・流通された。これが検察サイドが描いた、ふたつの事件の“筋書き”である。
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