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稲田防衛大臣の失言より豊田議員の「このハゲー」騒動が大きく報じられることの危機【菅野完】

稲田朋美防衛大臣 国有地不当廉売疑惑の第1報から約4か月。  大阪地検特捜部は、森友学園関係先5か所への強制捜査を実施。長きにわたって国会を揺るがした所謂「森友事件」は、ついに刑事事件に発展した。  森友学園の前理事長・籠池泰典氏にかけられた嫌疑は、幼稚園の運営に関し大阪府からの助成金を詐取した疑いと、小学校建設に関し国から不正に助成金を引き出した疑いの2つだ。  だがここで冷静に考えてみてほしい。大阪府からの助成金詐欺も、建築費への助成金の不当取得も、確かに問題ではある。しかし、こうして並べてみるとあきらかなように、この2つの嫌疑はともに、「9億円の国有地が1億円まで値引きされた」件とは一切関係のないものばかり。この件で籠池氏をいくら締め上げても事件の本筋が解明されることはなかろう。  にもかかわらず、メディアはあたかも「極悪人・籠池、ついに御用」といわんばかりに、騒ぎ続けている。籠池氏と籠池夫人を珍獣のように扱いつづける。まるで森友事件の本筋なんぞ、綺麗さっぱり忘れ去ったかのようだ。 「森友事件の土地の話は複雑で、視聴者に伝わりにくいんですよ」と、あるテレビマンが愚痴るように告白してくれたことがある。「あれほど悪質な話もないのに、事実をそのまま伝えるだけでは視聴者に伝わらないんです」  なるほど、その苦労はわかる。確かに土地取引の悪質さを限られた時間でわかりやすく伝えるのは骨が折れるだろう。だがそこで「だから珍獣・籠池の登場」になるようでは、単に「易きに流れる」でしかないではないか。
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豊田真由子議員、稲田朋美防衛大臣にも同じことが言える
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日本会議の研究

安倍政権を支える「日本会議」の真の姿とは? 中核にはどのような思想があるのか?膨大な資料と関係者への取材により明らかになる「日本の保守圧力団体」の真の姿。

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