ユーロ/円の底入れが株価反騰のシグナル!!【後編】 2012年は予想以上の株高の可能性が!
マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏
日本株の低迷が続いている。欧州金融危機、震災・原発事故、消費税増税・緊縮財政など、株価低迷の要因には事欠かない。しかし、現在の株価の割安感は強まっており、ユーロ/円レートの底入れが転機をもたらす可能性はある。
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下チャートに示されるように、ユーロ/円の間には驚くほどの連動関係が見てとれる。現在、欧州金融危機でユーロ下落が続いている。大手金融機関の破綻や新たな国債デフォルトリスクはいまだに残存しており、ユーロ下落完了の判断は時期尚早ではある。だが、ユーロ下落が終盤に差し掛かっている可能性は高い。
また、東証1部上場企業の株価収益率(PER)は15.7倍で、益利回りは6.35%だ。10年国債先物利回りは1.25%で、利回り格差は5.1%にまで広がっている。もし利回り格差が2.5%に縮小すれば、日経平均株価は1万5000円に変化する。
政府が震災復興予算として計上した約20兆円、GDP比4%の政府支出がこれから本格的に実行される。消費税増税など大増税の論議が行われているが、’14年度以降の実施で、短期は景気浮揚効果が圧倒するだろう。
これらのことから私は’12年に予想以上の株価上昇が実現する可能性はあると考えている。
だが、ここで想定しておくべき3つのリスクの第1は欧州リスク。政府債務危機への注視が引き続き求められる。第2は、イラン情勢と原油価格。米国が反原発運動への対抗策としてイラン情勢を悪化させて原油価格高騰を誘導する可能性がある。第3は、連動して日本国債利回りが上昇すること。リスクファクターの把握は不可欠だが、基本シナリオ大転換の可能性認識が大勝利への第一歩になる。
【今週の数字】
’08年以降のユーロ/円と日経平均株価の下落率
44.4%vs42.9%
’08年以降の日経平均株価が、ユーロ/円レートの推移に連動してきたことはあまり知られていない。この連動関係に着目すると、ユーロ/円での底入れが日本株価反騰のシグナルを意味することになる
【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ㈱代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/)も人気。近著に『日本の再生』(青志社刊)
『『日本の再生』』 日本経済復興への一冊! |
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