ユニクロで「買ってはいけない冬モノ」ワースト5
―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第153回目をよろしくお願いします。
恒例の「買ってはいけないユニクロ」ですが、実は近年どんどん「買ってはいけない」ものが減ってきています。3年前くらいから始めたこのコーナーですが、当初は「ネタで作った」みたいなアイテムがユニクロにも大変多く「書きごたえ」があったのですが……最近は「イマイチだけど着こなし次第でなんとかなるしなあ……」と書くことをためらうものが多い。それだけユニクロの企画力が向上しているのでしょう。良いことです。
ただし、まだまだ「買ってはいけない」「初心者にはオススメできない」アイテムも多いもの。季節に5つくらいならまだまだ余裕でピックアップできます。ある意味このコーナーが「もう紹介できるものがない!!」となったら、ユニクロさんの完全勝利かもしれません(誰と戦っているかしらないけど笑)。
では、今回も「買ってはいけない」紹介していきます。
●買ってはいけない5位:シームレスダウンロングコート+EC 17900円(+税)
ユニクロ屈指の名作「シームレスダウンシリーズ」。今年はショート・セミロング・ロングの3種類が展開されています。そもそも「シームレス」とはダウン特有の「羽毛を分けるパーテーション」に針と糸を使わない仕様のこと。中綿に使っているダウンの羽毛は軽く細いため中で容易に動いてしまう、そのためパーテーションで区切るのが普通です(区切らないと一部分に羽毛がより、シルエットがおかしくなってしまったり……)。
機能面において必要なパーテーションですが、そのためダウンはどうしても「モコモコ」としたミシュランマンの様な印象から逃れられません。
しかし、このシームレスダウンは「熱圧着技術」でパーテーションを作ったもの。糸と針よりもモコモコ感が少なく凹凸感がそれほど目立たないスタイリッシュな印象。もちろんこの技術はユニクロの専売特許ではなく他ブランドでも見られるものですが、1万円台で実現したものはおそらくユニクロが初。シームレスは安くても3万~4万円ほどのものが多い中、この価格は驚異的です。
さらにダウンは防寒性を考慮するあまりボリューム感があり、どうしてもアウトドアライクな印象になりがちです。そこで最近、注目されているのが「ロングダウン」。ロング丈でコートライクなデザインにすることでアウトドアな「野暮ったさ」を消したものです。スーツのときでも使えるほどドレスライクで、昨年あたりからじわりじわりと支持されています。ユニクロもその流れを意識して従来の「ショート」だけでなく、「セミロング」と「ロング」を用意しているのでしょう。商品画像もオンスタイルに合わせたものを使っています。
……しかし、この「ロング丈」が実は問題。セミロングくらいなら「コート感覚」でドレス感があり、カッコいいのですが……「ロング」までいくと、ちょっと「野球の監督」が着るベンチコートの様。ダウンのモコモコ感とお尻まですっぽり隠れるロング丈がどう見ても「監督」にしか見えません。商品画像で外人さんが着ていると素敵に感じますが……私が着用するともう完全に「冬の草野球」。
ダウンは「セミロング」まで。何事もやりすぎは良くないですね。
●買ってはいけない4位:フランネルチェックシャツ(長袖) 1990円(+税)
今年はチェック柄が再び人気。ドレスライクなスラックスやロングコートの「ハズし」アイテムとして使う人も多く、街では例年以上によく見かけます。ユニクロでも多くの柄や形を出しており、選ぶのに迷うくらいですが……このチェック柄はちょっと危険。
「チェックシャツ」は、それだけで子供っぽい印象を与えるもの。そこにつけて赤などの色彩の強い「原色」だったり、さらに赤だけでなく青や黄色などの「色数」を増やしたり、さらに素材に「ネル」などのカジュアルなものを選んだりすると……子供っぽいイメージにアクセルがかかり「イキった中学生」になってしまいます。
もちろん着こなし次第で上手にまとめる方法もありますが……おしゃれに慣れていないとなかなかハードルが高い。「赤チェック」を選ぶにしてもたとえば「暗めの赤」を選んであげるとか、色数の少ないものを選んであげるとか、そうした「子供っぽくならない」様にする工夫が必要です。赤チェックが無抵抗に似合うのはキムタクだけ!!と覚えましょう。
●買ってはいけない3位:ウルトラライトダウンリブブルゾン(ボーダーキルト)+EC 5990 円(+税)
ユニクロの傑作、驚くほど軽量でかつ防寒性が高い「ウルトラライトダウン」。こちらはMA-1の様なミリタリーデザインでウルトラライトダウンを使っています。上述の通りですが、モコモコ感のある「ダウン」というだけでアウトドアライクなカジュアルな印象が出てしまうもの。
だからこそ「長い着丈」だったり「黒などのモノトーン」だったり、「シームレス」などの細身シルエットを選ぶ必要があるわけですが……ミリタリーデザインにダウンのモコモコ感を加えてしまえば「カジュアルなデザインにカジュアルな素材」を合わせてしまっていることになり、着こなしが一層難しくなってしまいます。
もちろんたとえばボトムスにスラックスを合わせたり、「バランス」をとっておしゃれに見せることもできますが……どうしてもカジュアルな要素ばかりを足したものは「安っぽく」見られがち。
特にトップスは顔に近く印象を変える部分であるため、「安っぽく感じるアウター」を使ってしまうのは危険です。若い方はまだしも、30代以上の大人にとっては致命的。ドレスライクな要素の入ったアウターを選んで「大人」を演出してあげるほうがいいでしょう。
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ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)
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