風邪をひく度に「自己管理ができていない」と夫から言われる…体の弱い妻の悩み
― 連載「佐藤優のインテリジェンス人生相談」―
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
★相談者★美魔女志望(ペンネーム)会社員 女性 48歳
私は体が弱く寒がりで、年中マスクをしているにもかかわらず、季節の変わり目には必ず風邪をひいてしまいます。また、今年は子宮筋腫を患い入院しました。しかし、一つ年上の主人は、年中薄着で、20年以上風邪をひいたことがないそうです。
また、冬でも週3回は温水プールに行って何キロか泳いでいます。私は、風邪をひく度に、主人から「自己管理ができていない」と言われ、入院した際にも優しい言葉さえかけてくれませんでした。
おそらく主人は体が弱い人の気持ちを理解できないのだと思います。そんな主人とこれからの長い人生を一緒に過ごすことができるのか不安になります。私が寝たきりにでもなったら、どれだけイヤミを言われるのか今から恐ろしいです。身体強健な主人に、私の気持ちを理解してもらうには、どうしたらよいでしょうか。
◆佐藤優の回答
文面から察すると、結婚してからかなりの年月がたっていると思います。生活を共にすれば、お互いに理解できると思うのは幻想です。お互いが相手の考え、健康状態を理解しようとしないと、夫婦であっても、いつの間にか気持ちが冷めてしまいます。この冷却は徐々に進んでいくので、気がついたときには後戻りできないところに来ています。私自身も離婚の経験があるので、この過程が皮膚感覚でわかります。
あなたはそうなりたくないから、この人生相談に手紙(あるいはメール)を送ったのだと思います。それだから、ご主人と長く生活を共にできる方向でのアドバイスをします。
こういうときには、優れた小説から学ぶことが重要です。今年8月に上梓された、大城立裕先生が妻との生活を出会いから看取りまで描いた作品です。妻が脳梗塞を起こし、自宅で療養するようになったときの様子について、大城先生はこう記しています。
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排尿が近くなったようであった。寝室を私の書斎に移したので、トイレに行く段取りに異変を生じた。書斎のすぐ隣に応接間があるのだが、トイレへの途中にそこを通るのが、あなたにとって大きな問題になった。
「お客さんを、うちによばないで」
と言うようになり、私は来客を近くのホテルに案内することにした。
ただ、それも難しくなったのは、私が坐骨神経痛と圧迫骨折を患って、歩行困難になりホテルの入り口から喫茶室までさえ歩くのが困難になったからである。
これで夫婦ともに社会性の幾分かを欠くことになった。そのことを、あなたはまったく気にしないようであったが、病気を理由に開き直っているのであるか、社会性にたいする意識を忘れているのであるか、測りがたい。
(『あなた』65~66頁)
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老いは誰にでも訪れます。介護保険制度があるので、行政による支援を受けることができますが、それだけでは人間の心を充足させることはできません。家の中から外に出ることができなくなっても、夫婦で生活を共にして、思い出話をできるのはとても幸せなことだと思います。
夫が体の弱い私を気遣ってくれません
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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