スカンジナビア航空はLCCじゃないのに機内サービスが有料!?――ビジネスクラスで世界一周の旅
昔ほどのスペシャル感はなくなったとはいえ、今も大勢の人にとっては一生無縁であろう世界一周。2010年の秋、週刊SPA!の企画でLCCを使って世界一周をしたことがある筆者(※日本~北米はLCC未就航だったので別の航空会社を利用)が、今度は「ビジネスクラスで優雅に世界一周」に挑戦。10万2830円と約2年で貯めた11万5000マイルをビジネスクラス世界一周航空券に変えいざ出発!
ここまで中国、ネパール、トルコとアジアを巡ってきたが、今回たどり着いたのはバルト三国、リトアニアのビリニュス。
中世の古い街並みを残す街が多く、以前から個人的に訪れてみたかったこともあるが、旅人にとってうれしいのは物価の安さ。同じEU圏でも西欧諸国に比べると違いは明らかで、交通機関や飲み物などは日本以下の値段だ。
さらに治安が非常に良いのも大きな利点。実際、1人旅をしている日本人女性もいたほどだ。
ちなみに世界一周航空券の次のフライトは、2週間後のデンマークのコペンハーゲン発ローマ行きのフライト。よってしばらくは自力での移動となる。
今回利用したスラーアライアンスの世界一周航空券は、自力移動区間に対するルールが購入した場合と特典航空券で異なる。
あらかじめ決められた総マイル数を超えないようにルートを設定することはすでに説明したと思うが、購入した世界一周航空券だと自力移動の区間も総マイル数にカウントされてしまう。だが、特典航空券の場合、あくまで飛行機に乗った距離の合計で総マイル数が計算される。
購入用の世界一周券は最も距離が短いものでも2万9000マイルあり、一方の筆者の特典世界一周航空券は2万マイル。上限の総距離数が違うので一概に比較はできないが、列車やバスを使って陸路で移動したり、航空券を別途購入してもいい。いずれにせよ自力移動の区間を作ることでより自由度の高い旅をすることができるわけだ。
ビリニュスで旧市街やソ連時代の施設をそのまま使ったKGB博物館を見て回り、列車で同じリトアニアの古都カウナスへ移動。カウナスには1941年まで日本領事館があり、当時の領事代理の杉原千畝がナチスドイツの迫害から逃げてきた多くのユダヤ人たちに“命のビザ”を発給した地としても知られている。
その後は再びバスに乗り、隣国ラトビアの首都リガに移動し、ここで年越し。大晦日の深夜はなぜか年明けまで開催中の旧市街のクリスマスマーケットにいたのだが、酔っぱらったら見知らぬ外国人たちに『HAPPY NEW YEAR!』と何度もハグ責めに。たまにはこういうお祭り騒ぎのなかで迎える新年も悪くないものだ。
そして、元日はフェリーでリガからストックホルムへ。バルト海には豪華客船並みの設備を誇るフェリーが多数就航しており、乗船したのは特に人気の高いシリヤライン。船内は全室ベット&シャワー完備の個室で、カジノやクラブ、複数のレストランやカフェのほか、ショッピングモールもある。日本のフェリーとは比べ物にならないほどのスケールだ。
ところが、悪天候により普段なら冬場でも穏やかなはずのバルト海は大シケ。翌日のストックホルム到着は、なんと4時間以上も遅れてしまった。
実は、世界一周航空券とは別にストックホルム→オスロ行きの便を手配しており、港に着いた時点で飛行機の出発まで残り1時間40分。おまけにフェリー乗り場から空港までは約50kmも離れており、この旅始まって初となる大ピンチ!
定刻通りの到着ならストックホルム市内で軽く観光しようと思ったが、そんな余裕があるわけもなく、タクシーで空港に直行。なんとか出発1時間前に着くことができたが、航空会社のカウンターの前には長い行列。
並んでいれば間に合わないのは確実だったが、幸いなことに購入したのはスカンジナビア航空。筆者は2年前から同じスターアライアンス系列のANAの上級マイル会員になっていたため、エコノミーのチケットでも優先レーンを利用できたのだ。おかげですぐにチェックインを済ますことができひと安心。
自力移動の区間を設けることで、旅のアレンジは自由自在
マイレージの上級会員だったおかげで、出発60分前の空港到着でも優先的にチェックイン
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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