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不寛容さが増す現代日本が描かれている…平成が終わる前に読むべき本 BEST 5

 平成がもうすぐ終わる。が、この30年間、これといって成長を実感できない……などとため息をついている人も多いのでは? そんな人へぜひオススメしたい、“自分を変えてくれる”本を、プロの読者家たちが厳選! 新元号「令和(れいわ)」とともに新しい自分へと変身だ。

不寛容さが増す現代日本に重ねる名作たち

●「模索舎」共同運営者・榎本智至……’79年生まれ。東洋大学卒業後、ビル清掃バイト、京都西陣織製造会社の営業職を経て「模索舎」に。現在は共同で「模索舎」の運営にあたっている
榎本智至氏

榎本智至氏

「模索舎」は、’70年に活動に熱中した学生が創業。ミニコミや新左翼党派の機関紙をメインで扱っている書店ですが、運動に音楽や映画は関わりが深いため、カルチャー系も充実。昨年、『黙って野たれ死ぬな』『笠原和夫傑作選』の2冊が刊行されたのは意義深いです。  前者は東京・山谷などの日雇い労働者の権利を求め、焼身決起した活動家の遺稿集。後者は井上隼之助暗殺を描いた映画『日本暗殺秘録』などを執筆した名脚本家の選集。不寛容さが増す今の日本を描いたようで、人事には思えません。

榎本氏が選ぶ、閉塞感の強まる日本へ抵抗する本BEST5

『[新版]黙って野たれ死ぬな』 船本洲治/共和国/3024円 『[新版]黙って野たれ死ぬな』「船本洲治は1975年に沖縄米軍嘉手納基地前で『皇太子訪沖阻止』を叫びながら、〈流動的下層労働者〉の解放を確信し、焼身決起しました。表題は彼が遺書に記した言葉です」  新発見の論考、エッセイなどを収録し、昨年復刊した。 『笠原和夫傑作選日本暗殺秘録 昭和史~戦争映画篇』 笠原和夫/国書刊行会/5616円 『笠原和夫傑作選日本暗殺秘録』『仁義なき戦い』の脚本でおなじみ、笠原和夫の傑作選。 「注目は『日本暗殺秘録』が初めて活字化された第3巻。貧困からテロリズムに走った農村青年の姿を笠原和夫は描きだした。映画を観てそしてこの脚本を読んでほしいです」 『狂い咲け、フリーダム─アナキズム・アンソロジー』 栗原康(編)/筑摩書房/950円 『狂い咲け、フリーダム─アナキズム・アンソロジー』 昔は大杉栄、現代ならだめ連など。何にも縛られない、アナキストたちの文章集。 「収録された18人のアナキストによるアジテーションともいえる文章から国家や権力に縛られない生き方が見えるのではないかと思います」
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まだある、尖ったカルチャー本
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