仕事

自分が「発達障害かも?」と気づいた日。仕事で取引先にキレられて…

 SPA!でも’18年に2度にわたり、大特集を展開した発達障害。その取材をきっかけに生まれた『発達障害グレーゾーン』(姫野桂著)も発売即重版となるなど、大きな反響を呼んでいる。第3弾となる今回は「発達障害かもしれない」と思いながら診断を受けていない人の苦悩を追った。

※写真はイメージです

徐々に深刻化するも淡々と“そのとき”を待つ

加藤慎太さん(仮名・38歳)/会社員/ASD傾向  清潔感のある風貌に優しそうな笑みを浮かべる加藤慎太さん(仮名・38歳)。自他ともに発達障害とは無縁に思えた加藤さんがその可能性に気づいたのは仕事でのトラブルがきっかけだったという。 「新規の取引先と商談があり、最初はスムーズに事が進んでいたのですが、詰めの段階で先方の担当者の態度が豹変したんです。携帯電話の向こうであることないこと、めちゃくちゃにキレられて、メンタルがやられてしまい、いつまでたってもそのときの緊迫感や胸が詰まる感覚がフラッシュバックするようになりました」  なんとか騙し騙し仕事は続けている加藤さんだが、誰よりも自身がうまくいっていないことを自覚していると吐露する。 「そのトラブル以来、仕事が怖くなって、細かいことばかり気になったり、大切な場面でごまかしたり、責任回避したりすることが増えてきました。外面だけはなんとか整えていますが、それ自体がもう苦しいんです。そんな苦しさの正体が全然わからなかったんですが、いろいろ本を読んだらASDの傾向とすごく合致しました。 自分とは関係ないところで人が怒鳴っているだけで心が苦しくなったり、細かいことが普段と違うとナーバスになったり、自分だけ周りから疎まれているんじゃないかという被害妄想だったり、昔からあった心のクセみたいなものがリンクしていきました」 ●ASD(自閉症スペクトラム障害)……相手の目を見て話せない、冗談や比喩が通じないなど、コミュニケーションにおいて困難が生じる。また、特定分野に並々ならぬこだわりを持っている場合もある
次のページ right-delta
2次障害への覚悟も
1
2
発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害の認知が広まるなかで増える「グレーゾーン」に迫る

おすすめ記事