是枝裕和監督、映画デビューは意外と遅かった!? 『万引き家族』でアカデミー賞受賞なるか
昨年5月、第71回カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドールを受賞した事が記憶に新しい是枝裕和監督の『万引き家族』だが、先月発表された第91回アカデミー賞外国語映画部門にもノミネート作品として選出されている。
第91回アカデミー賞受賞作品の発表は、2月24日(日本時間2月25日)に迫っており、『万引き家族』の受賞への期待が高まっているのだ。この受賞が実現すれば、2008年に同賞にノミネートされ、受賞した日本映画『おくりびと』以来の快挙!
是枝監督は過去のインタビューで『万引き家族』について、「犯罪でつながった家族の姿を描くことによって、あらためて絆について考えてみたいと思いました」と語っている。そんなアカデミー賞発表を控える是枝監督が、これまでどのようなキャリアを辿り、どのような作品を撮ってきたのか振り返ってみよう。
是枝監督は1962年生まれ、東京都出身。小学校時代から中学校時代は映画好きの母親の影響で、さまざまな映画を鑑賞していたそうだ。そしてこの頃、アレクサンドル・ビッソンの戯曲をもとにし、母と息子の葛藤を描いた映画『マダムX』を観て、子供ながらに号泣するという感受性豊かな一面を見せていたという。
高校時代から大学時代は小説で食べていきたいと考え、早稲田大学第一文学部に入学。向田邦子などのシナリオを読み始めたことから映像にも興味を持ち始めるが、実際に映画を撮るようになるのは、もうしばらく後の話。
今や日本を飛び出し世界の映画業界でも輝きを放つ是枝であるが、映画一筋の人物かと思いきや、意外にもキャリアのスタートはテレビの制作会社だった。映画を撮りたいという志を持ちつつも、大学在学中に自主映画を撮っていなかった是枝監督は、映像に関わる仕事として、卒業後はまず番組制作会社に入社したのである。
番組制作会社では、会社の経営を支えているレギュラー番組のAD(アシスタントディレクター)として、ご多分に漏れず怒られっぱなしの生活。しかし、叱責され続けること以上に、作品を創り出すよりも利潤追求をしていく組織のやり方に、現実と理想のギャップを感じながら大変苦しんでいたそうだ。
こうして是枝監督は、会社にそのまま籍を置きながらも、次第に自分で撮りたいものに力を注いでいくようになる。彼が自らの企画としてフジテレビに持ち込んだドキュメンタリー作品『しかし…』をはじめとし、次第にドキュメンタリー演出家としての才覚を現していったのだ。
そして1995年、宮本輝の同名小説が原作の映画『幻の光』でついに映画監督デビュー。江角マキコさん(芸能界引退)、浅野忠信らが出演するこの作品は、初の監督作品にも関わらず「ヴェネツィア国際映画祭」で金のオゼッラ賞などを受賞し話題となった。
映画を撮り始めるのは意外と遅い? キャリアのスタートはテレビ制作会社
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