更新日:2023年03月12日 09:09
デジタル

拳銃、ドラッグ、違法コンテンツ…今さら聞けないダークウェブのキホン

~柳谷智宣の「デジタル四方山話」第40回~

 情報漏洩事件などが起きると、その情報を取引する場所として「ダークウェブが利用された」と報道されることがある。ただ、このダークウェブとは何か、というのがわからず質問をしてくる人が多い。筆者もテレビ出演時に紹介する際、内容がわかりにくく伝えるのに苦労することがある。そこで今回はダークウェブのキホンをご紹介したいと思う。

ダークウェブはどこにある?

 まず、ネットワークの世界で、みなさんがGoogleで検索できるウェブサイトは全体の1%以下の表面のみとなっている。これをサーフェスウェブと呼ぶ。もちろん、これも膨大なサイバー空間なのだが、その他99%を占めるのがディープウェブとなる。ここには一般ユーザーはアクセスできない。プライベートサイトもあるが、主に企業や研究機関が使うデータベースが占めているのだ。

我々が見ているウェブサイトは全サイバー空間の1%以下の領域でしかない

 Googleからは検索できなくても、URLさえわかれば一部のディープウェブにはアクセスできるかもしれない。しかし、ほとんどはセキュリティがかけられている。例えば、Gmailのフロントはサーフェスウェブにあり、我々は検索してアプローチできる。しかし、個人のメールのデータはディープウェブに存在して、外部ユーザーはアクセスできないというわけだ。  ここまでは怪しくもなんでもなく、我々は膨大なデータベースを基盤としたネットワークの表面を利用させてもらっているという話。ただ、このディープウェブのごく一部に存在するダークウェブというところが、世間をにぎわすことがあるのだ。

そもそもダークウェブって何のこと?

 ダークウェブはTor(The Onion Router)と呼ばれる仕組みでアクセスできるサイト群のことで、表示するには専用のツールが必要になる。エッジやサファリといったブラウザーではアクセスできないのだ。通信は暗号化され、高い匿名性が得られるのが特徴。例えば、ダークウェブにあるFacebookなら、国民のネット接続を監視する国からでも利用できる。情報の暴露サイトであるウィキリークスもダークウェブ上にあり、匿名性を確保している。しかし、違法コンテンツを扱う場所として利用されることも多い。

ダークウェブへの接続には、Torブラウザなどが必要になる

 御多分に漏れず、ボリュームが大きいのはポルノ系コンテンツだが、それ以外にもドラッグや銃器、コンピュータウィルスといったコンテンツが堂々と売られている。取引所から盗まれた仮想通貨や、企業から漏洩した個人情報などを取りきする場としても活用されている。基本は英語だが、ごく一部に日本語のサイトもあり、普通にドラッグが販売されていた。受け取り場所や価格、携帯電話番号も明記されており、確かに闇を覗いた感じだ。

ダークウェブの一例。拳銃が5万円程度で手に入る。支払いはビットコインが主流

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ダークウェブを利用するとどうなるのか?
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

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