更新日:2023年03月28日 10:40
ライフ

休日にいつもより90分長く寝る人は要注意のワケ

 平成29年「国民健康・栄養調査」によれば、40代の約半数で一日の平均睡眠時間が6時間未満と判明。さらに暑くなり寝苦しくなるこの季節、熟睡できないと悩んでいる人も多いだろう。 睡眠

加齢とともに悪化する睡眠の質を改善すべし!

「睡眠の質は自律神経がコントロールするのですが、自律神経の機能は40代になると20代と比べ半分程度に、50代では3分の1程度にまで落ち込みます」  そう語るのは、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏だ。
自律神経機能トータルパワーの加齢推移

交感神経や副交感神経に切り替わるのに応じた神経機能のスイッチングを下支えしているのが「トータルパワー」。グラフは、その周波数と年齢との推移を示しており、数値が下がると疲労が取れづらくなる(グラフ/東京疲労睡眠クリニック)

「スポーツ選手が40歳前後に引退することが多いのもその理由で、筋肉は鍛えることができても自律神経の老化は防げないんです。自律神経は血圧や心拍、呼吸、体温などを調整しますが、この機能が低下すると睡眠のリズムがうまく取れず疲労回復が難しくなります」  また、最近のホットワードでもある「睡眠負債」の影響も大きい。スタンフォード大医学部教授の西野精治氏によれば、ほとんどの人が睡眠不足の積み重ねで体の不調を引き起こす「睡眠負債」を抱えているという。 「十分な睡眠が取れないと、高血圧や肥満、糖尿病といった生活習慣病にうつ病などの精神疾患、がんや認知症のリスクが高まります。体が必要とする睡眠量は人によって異なるのですが、例えば休日の睡眠時間が普段よりも90分くらい長い人は、睡眠負債を抱えているといわれています。  アメリカのある調査で、7時間睡眠が一番死亡率は低いというデータがありますが、それだけの時間を確保できない人も多いのではないでしょうか。十分な睡眠時間が取れないのであれば、寝つきをよくして初めの深い睡眠(レム睡眠)の質を上げることが大事。40代は、仕事の責任やストレスも増えてくるので、睡眠の質も悪くなりがちです」 睡眠 西野氏はべストセラー『スタンフォード式最高の睡眠』のなかで、「最初の90分でいい睡眠を取りたい」とも示している。 「いい睡眠には体温調整が非常に大事。例えば40℃のお風呂に15分入ったら、体温が下がってくる90分後くらいに寝るのがベストなど、質の高め方はさまざまです」  「睡眠負債」の解消には睡眠の質を高める必要がありそうだ。 【参考記事】⇒熟睡できない人は、ベッドを壁から10cm以上離すべき理由 【西野精治氏】 スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所所長。医学博士。著作に『スタンフォード大学教授が教える熟睡の習慣』(PHP新書)など 【梶本修身氏】 医学博士。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。東京疲労・睡眠クリニック院長。『ホンマでっか!?TV』『名医のTHE太鼓判』などに出演 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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