なぜ今さら『ターミネーター2』の続編なのか? 72歳になったシュワちゃんが語る
’80年代に製作され、今なお語り継がれるハリウッド大作は数あれど、『ターミネーター』シリーズほどの人気作はまれだ。東西冷戦期の核戦争の恐怖をベースにしながらも、ネット&IT社会の今だからこそ起こりうる脅威を描いた傑作と言える。特に、’91年の『ターミネーター2』(以下『T2』)は、アクション描写のみならず、未来のロボットと少年の友情をも描き、アクション映画の新機軸を打ち出した。
そのターミネーター“T-800”役で大スターとなったのがアーノルド・シュワルツェネッガー。新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』でも同役を演じているのだが、なんと本作は『T2』の“正統な続編”として製作されたという。御年72歳のシュワちゃんはこう語る。
「僕が演じたのはサイバーダイン社のモデル101。本作で登場する最新型ターミネーターよりも古く、本シリーズでは最古参のターミネーターだね。長いこと存在しているから、その能力は皆さんご存じの通りだ。『T2』で起きたことを知っているかどうかは、まだ話せない。話したら、僕は君を殺さないといけなくなるからね(笑)」
本作の舞台は『T2』のその後。スカイネットが核戦争を引き起こす「審判の日」を回避した後の世界だ。メキシコに新型ターミネーター“REV-9”が現れ、ある女性の命を狙う。これを阻止するために、未来から送り込まれた強化型戦士グレースと“T-800”、それに『T2』で世界を守ったサラ・コナーが立ち向かう。
『T3』以降やTVドラマまで作られているシリーズなのに、なぜ今さら『T2』の続編?と思うかもしれない。その辺りの事情について、「本作は、『T1』と『T2』を作り出したジム(ジェームズ・キャメロン)がプロデューサーとして復帰したことで成立した企画なんだ」と、彼は説明する。
「ジムいわく、これは『T2』の“正統な続編”なんだ。たとえ監督が代わっても、ジムがすべての製作工程に関わっていたから、僕は安心して出演することができた。最初、彼が僕に電話で『あなたにはターミネーターを、リンダ・ハミルトンには戻ってきてもらいサラ・コナーを演じてもらう。どう思う?』と聞いてきた。正直、最高だと思ったね。おかげでやっと元のファミリーに戻った気分だ」
実は、『T2』以降の作品にキャメロンは一切関わっておらず、いわばそれらは『ターミネーター』の世界観を使ったスピンオフ作品。本作が“正統な続編”と呼ばれる所以はそこにある。シュワルツェネッガーは『ターミネーター4』(’09年)を除いて同じ役で出演しているが、「僕が出演した作品に関しては後悔していないよ」と言う。
「州知事時代でノータッチだった『T4』は何も語ることはないけど、他の作品はよくできていたと思うよ。ただ、ジムの個性はまったくなかった。彼が関わると、どういう物語にしたいのかはっきりとしたビジョンを持っていて説得力があり、シーンによってどんな芝居が欲しいのか明確なアイデアを出してくれる。『トゥルー・ライズ』(’94年)でもそうだったから、彼の個性がどういう役割を果たすかはよく知っているんだ。本作を観れば、すぐにその違いがわかってもらえると思うよ」
28年の時を経て、名作『T2』の正統な続編がシュワちゃん主演で復活
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●『ターミネーター:ニュー・フェイト』
監督/ティム・ミラー 出演/アーノルド・シュワルツェネッガーほか 配給/20世紀フォックス映画 11月8日より全国公開
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