「ユニクロ史上最高傑作」と言っても過言ではないと思います。本来アウトドアの素材である透湿防水を都市生活者用のロングコートに応用したのがこちら。透湿とは湿気を逃がすこと、防水とは外部からの水を遮断することです。 　冬は屋内外の気温差が大きく、外は寒いけど電車の中は蒸し暑く、汗だくになってしまいますよね。このコートなら屋外では風も水も止めてくれてしっかり保温してくれるけれど、電車の中などの屋内では汗をかいても湿気を素早く逃してくれるので、蒸れてベタベタになることがない。 　一回着用するとクセになるほど快適なこのコート、屋内外の移動の多い都市生活者ほどおすすめです。 　ただし、この素材にも欠点があり、もともとアウトドア用として開発されたものだけに化学繊維でスポーティな風合い。そのためステンカラーコートの素材として使うと、どうしても安っぽく感じられてしまう。せっかくキメたスーツを着てもコートで台なしになってしまうのではもったいない。 　しかし、ユニクロは今年、このコートをアップデート。ウール混素材にしたことで風合いにグッと高級感がプラスされました。この秋に発売されたこのステンカラーコートはもはやスポーティな印象はゼロ。まるで高級ブランドのウールコートのような風合いで安っぽさは微塵もありません。 　機能性も見た目も最高峰のこのコート、ユニクロにしては少し高いですが、少々のことでダメになるような素材ではなく、イージーケアで2～3年は余裕で長持ち。ビジネスマンで日々使うことを考えるとコスパは決して悪くないでしょう。 　もちろんビジネス用としてだけでなくカジュアル用としてもおすすめ。膝付近まで届くようなロング丈なのでどんな着こなしをしてもサマになるのがありがたい。パンツはどうせわずかな面積しか見えないし、インナーもチラリと見える程度。着こなしが極めて簡単、パッと着てサマになるアイテムです。 　10年前ならこの素材、この風合いで5万円を切るアイテムはありませんでした。この10年で一気に素材開発と生産環境が整い、大きな価格破壊が起こっています。今の時代に本当に感謝です。 商品、衣装／すべて私物　撮影／林 紘輝（商品）　岡戸雅樹（人物）ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超！ （Twitterアカウント:@MBKnowerMag）