2020年はミリタリーブームが再来? 最新ファッショントレンドをプロが解説
―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第262回目をよろしくお願いします。

メンズファッションバイヤーのMB。「『おしゃれに見える』にはちゃんと理由があるんです」が持論(撮影/難波雄史)
◆クラシカルスタイル
最近、街中でセットアップを着ている人を多く見かけませんか? 実は今どのセレクトショップも「普段着用のスーツ」を展開しています。いや、セレクトだけでなくユニクロやGUなどの量販店も軒並み普段用スーツを展開中。AOKIや青山などの紳士服量販店のフォーマルスーツの業績不振とは裏腹に、日常着用のカジュアルスーツは絶好調なのです。
この背景は2つあります。1つは長らく続いていたストリートファッションのトレンドが収まりつつあること。エアマックスにビッグサイズのTシャツ、大きなフードのパーカーを羽織って街を歩くスタイルがいよいよもって静かな落ち着きを迎えています。実際、中目黒などトレンドに敏感な男性が歩いている街を見ればいつの間にかパンツはデニムからスラックスへと移行しており、足元はスニーカーから徐々に革靴が増えている。
ストリートスタイルが落ち着いたあとには当然のごとく反動によりドレスライクなウェアが注目されます。スーツスタイルが普段着として受け入れられつつあるのは、ストリートファッションの着こなしにすっかり飽きてしまったトレンド性が理由として挙げられるでしょう。
2つめはクールビズの台頭です。「動きにくく、窮屈なスーツを着て仕事をするなんてナンセンスじゃないか?」という合理主義が浸透し、だんだんとアクティブスーツと呼ばれる「肩パッドなし、芯なし、ストレッチ性が高い」楽チンスーツが増えてきているのです。
さらに、それだとカジュアル着であるブルゾンやジョガーパンツと差がないほどラフに使えるので、「仕事だけじゃなくて街着もこれでいいや」とアクティブスーツをONOFF使い回しているわけですね。
このスーツを普段使いする流れは次の春も拡大中。どのブランドもどのセレクトショップも普段用のスーツを強化してラインアップしています。特にGUは上下7000円で買える超絶ロープライスなカジュアルスーツを今季も展開。素材感や作りをグレードアップさせており、今後もファーストリテイリングの爆進は続きそうです。
◆ミリタリー
上記のテーラードスタイルと矛盾するような話ですが、次の春夏シーズンはミリタリーが再び注目されています。
その理由は2つあります。1つは「ノームコアからの反動」。長らく続いた「シンプルな着こなしこそがおしゃれ」といったノームコアスタイルがそろそろ飽きられつつあります。「スティーブ・ジョブスが実はおしゃれ」ともてはやされた時代もひと段落し、人々はいい加減無地でシンプルな着こなしに飽き飽きしつつあるのです。
反動として装飾のある服を求めていますが、あまりにもごちゃついた服は抵抗がある。そこで機能性を理由に装飾してあるミリタリーが注目を浴びています。次の春夏のブランド品はパンツにはカーゴポケットが、シャツにはワークポケットやZIPが目立つことになりそうです。
そして、2つめは「アースコンシャス」。環境問題やサスティナブルがファッションの注目議題となっている昨今。大量消費・大量廃棄の代表格であるファッションがついに環境について真剣に考えはじめているのです。ハイブランドのデザイナーたちはCSRを意識しレザーを使うのをやめ、合皮や化学繊維を使いいかに美しく見えるかを模索し始めています(合皮が本当にサスティナブルかという議論もありますが……)。
この社会問題を背景にした議論が、実はトレンドに影響を及ぼしているのです。この春夏はこうしたサスティナブルや環境問題の影響を受け、ボタニカル(植物)柄やアースカラーなどの提案が多い。そして、アースカラーの代表としてマウンテンスタイルやミリタリースタイルなどが題材として使われているのです。
60年代ヒッピームーブメントのようにミリタリーシャツを上手に着こなすことが今後のトレンドスタイルになるでしょう。テーラードとカーゴパンツを合わせたり、ミリタリーとスラックスを合わせたり、上記のドレスライクなトレンドとの組み合わせも見られるようになるはずです。
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ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Xアカウント:@MBKnowerMag)

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